自然光利用の根本的な健康上のメリットを考慮して、一部の企業はワークスペースの概念を見直し、これを活用して自社をアピールし始めている。この好例が、シアトル中心部にあるアマゾンの新社屋、スフィアだ。

 この社屋には4万本以上の植物が配置され、さながら手入れの行き届いたジャングルだ。スフィアは、自然光や植生、そしてウォーキングなどの健康的な活動が、従業員のストレスを軽減し、標準的なオフィスビルよりも仕事の満足度が高まるという前提に立つものだ(留意すべきは、同業他社の多くとは対照的に、アマゾンは無料のランチやスナックなど、よく宣伝されるオフィス特典よりもスフィアに投資する選択をした)。

 たいていの会社では、経営幹部の執務室には大きな窓があるが、序列の低い従業員は自然光を望めない場所に配置されている。実は、この配置に必然性はまったくない。

 エアービーアンドビーはオレゴン州ポートランドにあるカスタマーコールセンターのために、画期的なデザインを登用した。窓のないワークステーションというのがコールセンターの一般的なデザインだが、エアービーアンドビーのコールセンターはあえて、オープンスペースになるようにデザインされており、自然光と周囲の眺めを確保すると同時に、デスクの代わりにソファとスタンディング・デスクを置き、電話をワイヤレスに取り換えた。

 こうした要素のメリットは、よく知られている。実際、一部のEU諸国は国家建築基準法の一環として、窓の近くに従業員を配置するよう義務付けている。自然光が入らなければ、企業のトップから平社員まで、全体的な従業員体験に悪影響が及ぶことを、これらの国は理解しているからだ。

 職場のよりよい環境を考えるに当たり、もちろん、自然光だけが唯一重要な側面であるわけではない。たとえば、頻繁に引用されるハーバード大学による調査では、空気の質を改善すると、精神状態がよくなることがわかった。だが、当社が行った従業員体験調査結果によれば、従業員の78%が「自然光が差し込み、眺めがよければ、従業員ウェルビーイングが改善する」と評価し、70%は「仕事の成果が上がった」と回答している。

「職場環境づくりは、もっぱら不動産の問題だ」という見解は、もはや時代遅れである。今日の雇用主は、職場環境が総合的な従業員体験方程式の一部であり、最高の人材を惹きつけ、従事させ、そして、つなぎとめるための重要な方策であることを認識している。

 CEOたちは実際、どうすればワークスペースが生産性の向上につながりうるかに注目し始めている。

 ユタ州ソルトレイクシティに所在するオーバーストック・ドットコムの約2万1300平方メートルに及ぶオフィスでは、風光明媚なソルト・レイク・バレーが一望できる。オーバーストック・ドットコムCEOのパトリック・バーンは、この絶景をブラインドで覆うよりはむしろ、従業員が働きながら眺めを楽しめるソリューションを望んだ。

 そこで同社は、約2800平方メートルのスマートウィンドウを設置した。この窓ガラスには自然光を自動調整して最適化する機能があるため、コンピュータ画面の照り返しから従業員の目を保護することができ、よりクリエイティブな作業環境を生み出せる。年間人件費が1億ドルだとすると、生産性が2%上がるだけでも200万ドルの節約につながる