中間地点をコントロールすることが重要

 こう述べると、「何だ、朝が大事という話か」と思われるかもしれないが、ピンク氏の指摘がユニークなのは、「これが全ての人にあてはまるわけではない」と別の視点を投げかけている点だ。時間生物学者の論考を基に、寝ている時間帯別に、人のタイプを3つに分けたのだ。

 具体的には、就寝時間と起床時間の中間にあたる時刻を基準に、早起きの「ヒバリ型」と夜に活動する「フクロウ型」、そしてその中間である「第3の鳥」と分類し、それぞれに適した時間帯を作業ごとに示した。

 例えば、「意思決定」は「ヒバリ型」であれば早朝だが、「フクロウ型」であれば、夕方前及び夕方から夜にかけてであるという。つまり、単に朝がよいというのではなく、自分にあった体内リズムを理解しておく必要がある。

 重要なのは、スケジュールがあまりコントロールできない場合も、「注意力と明快な思考力が求められる最重要の仕事は、ピークの時間帯に入れること」。そのために、昼食や休憩の取り方を考え直す必要があるのだという。

 こうして、第1部で1日におけるベストなタイミングを探った本書であるものの、読み進めると、その対象がどんどん広がっていく。

 いつ結婚すべきか、いつ転職すべきか、いつが幸せなのか……さまざまなテーマにおいて、いつスタートすべきで、いつ終えるべきなのかという論考が展開される。特に、ページを割いて述べるのが「中間」のタイミングである。

 何事にも始まりと終わりがあり、その中間地点で「中だるみ」が起きることが実証されており、ピンク氏は中間点をマネジメントする重要性を説いている。例えば、年間の経営計画が中間時点でどのような状況か振り返るといったように、である。

 とはいえ、中間地点のマネジメントとはどうすればいいのか。

 本書は、1)そもそも中間地点を意識すること、2)中間地点の状況を知り、あきらめるのではなく、目を覚ます機会に利用すること、3)ほんの少しだけ自分がリードかまたは後れを取っていると考えてみる、の三つのアプローチを提唱する。そうすることで、中だるみを起こさずに、モチベーションが活性化されるのだ。

 時間は有限である。その時間をいかに有効に使うかは古くから議論がなされてきた。その点、本書から得られるのは、ベストなタイミングがいつなのかを知るだけでなく、そのタイミングは自らがコントロールできるということだ。

 プロジェクトであれば期限を設けることができるし、仕事場であっても一定期間在籍すると思えば、始点と終点を意識するだけで成果が上がる。期限のないような仕事であっても、自ら何らかのスタートとゴールを設定することでパフォーマンスを上げることができるだろう。

 自身の潮の満ち引きのような体内時計を意識しながら、常に始点と終点と中間を意識し、自らをマネジメントすることで、Howだけではうまくいかないことができるようになる。本書はそんなことに気付かせてくれる1冊である。