ケーススタディ(1)
心を穏やかにする日課を特定し、頼れるコーチになる

 アレックス・メンブリロは、アトランタを拠点とするデジタル・マーケティング代理店カーディナルのCEOだ。パートナーの仕事絡みのストレス管理をサポートする難しさをよく知っている。「妻は大手IT企業に勤務していますが、ここ2~3年は上司から大変なプレッシャーを受けています」と彼は言う。「厳しい状況が続いています」

 そこでアレックスは、妻を助けるための戦略をいくつか考え出した。第1に、耳を傾けることだ。「妻が仕事から帰宅してから最初の15分間は、彼女がその日の出来事をすべて吐き出せるようにします」と彼は言う。「上司がその日に何と言ったかまで彼女は私に話し、私はただ最後まで、彼女の話を聞きます。感情的にならず、アドバイスもしません。私が何か提案するときではありませんからね」

 第2の戦略は、サポートを提供することだ。「妻が落ち着いたら、彼女の長所と得意なことすべてを思い出させます」とアレックスは言う。「私は前向きな気持ちの源になろうと努めます」

 第3は、妻と一緒に緊張をほぐすことだ。「夕食後、街中をドライブして緊張をほぐすことが2人のお気に入りです」と彼は言う。「少し前、私自身が仕事でストレスの多い日々を過ごしていたときに始めたのがきっかけで、以来、この日課を続けています。常に動いている感覚がいいんでしょうね。仕事を忘れるための素晴らしい方法です」

 第4に、仕事と家庭とは別に、活動の場を持つよう妻に勧める。「彼女にとって、教会は極めて大切な場です。また、女の子たちにバレエを教えることにも同じくらい情熱を注いでいます。この2つに関することをするよう勧めています」と彼は言う。

 最後に、彼は仕事上のアドバイスとカウンセリングも提供する。「妻は同じ所から抜け出せないと感じているので、助けになりたいと思っています」と彼は言う。「そこで私は『想像する(imagine)』という言葉をよく使います。たとえば『仕事からエネルギーをもらっていると感じたら毎日がどんなふうになるか、想像してごらん』 といった具合です」

ケーススタディ(2)
仕事の話は決めた時間に。ただし、パートナーには思うままに話をさせる

 ジェシカ・マックレインは、ワシントンD.C.を拠点とする会計検査官だ。彼女は夫が仕事のストレスを管理するのを助け、また夫からも助けてもらっている。「正直に言えば、私は少しばかりワーカーホリックです」と彼女は打ち明ける。「非常に要求の高い仕事についているので、時には仕事のスイッチの切り方がわからなくなります。今年に入って夫には、『君の仕事の愛人になったような気分だ』と言われてしまいました」

 プレッシャーに対処する最善策を見つけるには、2人で一緒に取り組む必要があると、2人とも自覚した。「2人で踏み込んだ話し合いをして、基本ルールをいくつか設けました」とジェシカは言う。

 第1のルールは、帰宅した直後は仕事の話をしないことだ。「以前はよく、2人とも帰宅するとすぐに、その日の職場の出来事について話し始めていました。私がとりわけ、その傾向が強かったのです」と彼女は言う。「いまでは、そうする代わりに、2人で1杯飲みながらテレビを見て、食事をし、仕事以外のあらゆることを話します」

 第2のルールは、相手が何を求めているかに注意を払うことだ。ジェシカの夫は政府機関に勤務している。「夫はストレスを感じていますが、それについて毎日話したりはしません」と彼女は言う。「夫が直面している問題について話しているとき、(私がしがちなのは)私だったらその状況をどのように処理するかと彼にアドバイスしてしまうことです。彼はついに、私にこう言いました。『アドバイスを求めているわけじゃない。ただ話をさせてくれ』。いまでは、ただ聞いていればいいのだとわかっています」

 第3のルールは、比較をしないことだ。「以前はよく、夫と自分の仕事の問題を比較していました」とジェシカは認める。「彼が自分の問題について話している最中に、『私なんて、それよりも20倍ひどい状況に直面したことがあるわ』とつい言っていたのです」

 ジェシカはいまでは、夫がそれをありがたく思っていなかったことに気づいている。「ついに夫は私に『いま、僕らが話しているのは君のことじゃない。僕の状況を話しているんだ』と言いました。以来、比較してはいけないということを学びました。私の役割は、夫を応援する聞き手でいることです」

 ジェシカは夫の優れたワーク・ライフ・バランスにも気づいたという。「夫はいくつか趣味を持っていますし、週に4、5回スポーツジムに行きます。そして、友人と過ごす時間も確保しています」。夫を見習い、彼女自身ももっとオフの時間をつくろうと努力している。


HBR.ORG原文: How to Help Your Spouse Cope with Work Stress, August 20, 2018.

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レベッカ・ナイト(Rebecca Knight)
ボストンを拠点とするジャーナリストで、ウェズリアン大学講師。『ニューヨーク・タイムズ』紙や『USAトゥデイ』紙、『フィナンシャル・タイムズ』紙にも記事を寄稿している。