●話を聞く

 パートナーが仕事から帰宅して、職場での今日のイライラについて事細かに話し始めると、たいていの人は「適当に聞き流す」傾向があると、ペトリグリエリは言う。「午後7時、あなたは夕食の準備をしていて、子どもたちが周りにいる。そんななか、あなたは『ふーん、ふーん』と相槌を打つでしょう」。けれども、それではパートナーの苛立ちをさらにあおりかねない。

 それよりむしろ、「パートナーに全神経を注ぎましょう」とペトリグリエリはアドバイスする。耳を傾けて「パートナーの話に本気で集中するのです」。話をさえぎってはいけない。「おそらくパートナーは3分ほど、不満をぶちまけて胸のつかえを吐き出せば、それで気が済む可能性が濃厚です」と彼女は言う。

 少なくともこの段階ではまだ、アドバイスをしないほうがいいと、コールマンは言う。「常に解決策を提示しなくてもよいのです。あなたのパートナーは、ただ誰かに話を聞いてもらいたいだけのこともあるのですから」

 ●サポートを表明する

「パートナーの話にエンゲージメントを示す」ことが必須だと、コールマンは言う。「パートナーをぼんやり見ているだけではいけません」。むしろ、「応援するような言葉遣いで、何か力になることを口にしましょう」。共感して相手の身になって考え、あなたのストレスとパートナーのストレスを比較してはいけない。「パートナーが不満を口にしているときに、『あなたの1日がひどかったと言うけど、私なんてもっと悲惨だった』と言うのは禁物です。何の役にも立ちませんから」。

 ストレスはガマン比べではない。それでもやはり、要望に応じたサポートと励ましを提供することは容易とは限らない。時には、「パートナーの問題に対処する準備があなたにできていないこともあるでしょう」とコールマンは言う。タイミングが合わないときは、「その晩の別の時間か翌日、あるいは週末にでも会話の続きをしよう」と申し出るように、ペトリグリエリは勧める。重要なことは、「必ず話を聞くからね、という姿勢を示しておくこと」だと言う。

 ●キャリア・コーチ役を(賢く)務める

「パートナーがいるメリットは、あなたが自分自身を知っているのと同じくらい(ひょっとしたら若干それ以上に)、パートナーはあなたを知っていることです」とコールマンは言う。「ですから、パートナーが職場の状況を読み間違えているか、あるいは誤った方向に向かっているとあなたの第六感が知らせる場合は、何か言う必要があります」

 パートナーの視野を「広げるようなよい質問をすること」をコールマンは勧める。さりげなく探りを入れつつ、相手を責めたりしない問いかけをしてみよう。たとえば、「『どうしてそうだと思う?』。あるいは『違う対応が必要かもしれない、ということは考えられる?』。時には、見えていなかった点を特定できるようにパートナーをサポートする必要があります」とコールマンは言う。

 アドバイスをするときは優しく、とペトリグリエリは言う。彼女はこんな言い回しを勧める。「『この先の方法として提案があるんだけど、話してみようか』。こんなふうに持ち掛ければ、話そうとしていることから余計な火種は取り除けます」

 ●熟考する

 ペトリグリエリによれば、パートナーが抱えているストレスのタイプを把握していることも重要だ。仕事のストレスには2つの種類がある。「1つは散発的ストレスで、これはひどい会議とか顧客プロジェクトの失敗といったことに起因します」。もう1つは「慢性的ストレスで、こちらは水面下で(長期にわたって)ふつふつと泡立っています」

 慢性的ストレスは、パートナーが「ふさわしくない場所にいる」可能性を示すシグナルであり、「典型的なゆでガエル症候群」だと、ペトリグリエリは言う。すなわち、「パートナーの態度や気分、パターンに気づく」必要があり、パートナーがキャリアや職業人としての進路について熟考するのをサポートする必要がある。

「『調子はどう? 望んだ通りの場所にいる? 満足している?』と尋ねてみてください」。これらの質問は、「長く腰を据えた会話につながるとよりよいだろうから、夜、2人で外出するときや、ゆっくり海辺を散歩するときにふさわしい」かもしれない。だが、もしパートナーが苦しんでいるのであれば、あなたはすぐさま取り組む必要がある。

 ●外での交友関係や興味を促す

 とはいえ、「あなた1人でパートナーの全ストレスを引き受けることはできません」とコールマンは言う。「通常、パートナーは最も信頼している相手です。ですが、互いに頼りすぎれば、関係が気まずくなります」。それゆえ、「家庭や職場とは別に活動の場が持てるように、パートナーをサポートする」必要があると、コールマンは言う。「第3の空間を形成すべきです。趣味やスポーツなど、楽しみを追求できるよう、自由とスペースをパートナーに与えましょう」。

 職業上の課題に「対処する助けになりうる人たち」、相談役や助言者になりうる人たちで構成される「外部のサポートネットワーク」を、カップルがそれぞれ持っていることも決定的に重要だ。パートナーは「すでに築いてきた関係を大事にする」と同時に、「新しい交友関係や人脈を育てる」ように奨励すべきだと、ペトリグリエリは言う。

 時には「セラピストに相談したり、キャリア・コーチと連絡を取ってみるようパートナーを促すことで、[パートナーの]一層の成長の後押しができるかもしれません」。ただし、心に留めておくべきは、あくまでもセラピストやコーチは、あなたの「代わりになる人ではなく、補完する人」であることだ。

 ●一緒に緊張をほぐす

 最後に、「家庭を安息の地にする」ための努力は欠かせないと、コールマンは言う。

 これが意外に簡単ではない。携帯電話やノートPCがあらゆる場所でつながる状況と、年中休む間もない仕事が大きな障害だ。だからこそ、「カップルはモバイル機器に関して良い習慣を実践する必要があります」とコールマンは言う。「2人そろってスマートフォンに手を付けない時間帯を設ける必要があります。仕事用デバイスを家庭で使える時間を決める必要があるのです」

仕事に区切りを付けるよい習慣を身に付けられる」ようにパートナーをサポートすることも、コールマンは勧める。たとえば、仕事が終わったらオーディオブックや音楽を聴いたり、あるいはただ散歩をしたりするのがいい。「あなたもパートナーも、緊張をほぐす時間を必要としています」

 ●覚えておくべき原則

【やるべきこと】
・携帯電話を置いて、パートナーに全神経を集中させる。
・優しくアドバイスする。パートナーの目に入らなくなっている点を特定できるようにサポートする。
・1日の仕事の終了を穏やかに迎える習慣や日課を身に付ける。2人とも、緊張をほぐす時間を必要としている。

【やってはいけないこと】
・パートナーの問題を性急に解決しようとしない。時には、パートナーは不満を話すだけで気が済むのかもしれない。
・一歩引いた視点からしか明らかにならないパターンを見落とさないようにする。パートナーが袋小路にはまっているようなら、それに気づくべきだ。
・パートナーの抱える仕事のストレスを1人で引き受けてはいけない。パートナーが趣味や、本業以外の興味や交友関係を育てるのをサポートする。