ー デジタル関連市場が大きくなることで、コンサルティング業界にはどのような変化が起きていますか。

 従来は、戦略やオペレーションなどのビジネスコンサルティングと、システム構築のITコンサルティングの市場は棲み分けがありましたが、昨今はデジタル関連コンサルティングの市場拡大により、その境目があいまいになっています。

 たとえば、コンサルティングファームで、ビジネス戦略を主としている部門で案件を請け負ったとしても、戦略を立てて終わりではありません。戦略から入って、その実行まで支援しなくてはDXを完遂することはできないからです。つまり、提案から実行までの一貫したサービスが求められているのです。

 したがって、コンサルタントが派遣されたクライアント企業の実務に直接参画する、いわゆるハンズオンでの実行支援の例も多くなっています。

 あるいは、DXの一環として、クライアントの企業の新規事業創出に、コンサルティングファームが関わる例もあります。たとえば、クライアントとジョイントベンチャーを設立して、DXに取り組むケースも出てきています。

 いずれにせよ、コンサルタントにとってITとデジタルのケイパビリティーはますます重要になっています。

DX支援には新たな
スキルセットが求められる

ー そうしたなかで、今後のコンサルティングファームに求められるものは何でしょうか。

 DX支援に求められるスキルセットが従来とは大きく変化しています。たとえば、提案書の代わりに製品やサービスのモックアップをつくるといったスキルも必要になっています。このため、DXプロジェクトを請け負うチームとして、ビジネス(戦略・業務改革)、デジタル(テクノロジー)、デザインの3つの領域をカバーするファームが増えつつあります。一人のコンサルタントが三つの専門領域を究めるのは困難でしょうが、チームとしてならカバーできます。できれば、これらの領域のいずれか2つに専門的知見を持つコンサルタントが増えれば、チームとしてより強力にクライアントを支援できるはずです。

 たとえば、データアナリシスに強く、かつ、コンサルティングの実務に長けているとか、デザイナーだけれど、エンジニアとしてコードも書けるといった人材です。

 海外では大手企業や大手コンサルティングファームがデザイン会社を買収する例が増えています。それは、ビジネスの現場でのデザイン・シンキングやUX(ユーザー体験)デザインの重要性が高まっているからです。

 これまでは戦略を立ててから、それに沿って、IT技術を適用した結果として、UXにつながっていましたが、今後のビジネスにおいては、戦略を立てる時点で、最初からUXを考えていく必要があるからです。

 UX起点でものを考え、カスタマージャーニーをこのように変えるために、デジタルのプラットフォームをこのように使おうといった発想で、ビジネスを組み立てなければならないし、それが技術的に可能になっているのです。

 いずれにせよ、DXに関するコンサルティングは構造的な需要といっていいでしょう。これからどの企業も、本気でDXを取り込む方向に舵を切らなければ、生き残りは困難になります。国内市場でのDXの本格化はこれからで、その意味で、市場の伸びしろはまだまだあると見ています。