ビジネスコンサルティング市場が好調だ。IT専門調査会社IDC Japanの調査では、国内のビジネスコンサルティング市場は、2017年に前年比8.2%増の3921億円に拡大した。同社のシニアマーケットアナリスト、植村卓弥氏に市場動向や拡大の背景を聞いた。

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ー 国内コンサルティングサービス市場の動向と今後の予測を教えてください。

IDC Japan
ITサービス シニアマーケットアナリスト
植村卓弥 氏

植村(以下略) 当社では国内コンサルティングサービスをITコンサルティングとビジネスコンサルティングに大きく二分類していますが、全般的に市場は拡大しています。国内コンサルティングサービス市場は、2016〜21年に年間平均3.9%成長し、21年には8238億円に拡大すると予測しています。

 なかでも成長率が高いのが、ビジネスコンサルティング市場で、2017〜22年の5年間では、年間平均7.4%で成長し、22年には5612億円の規模に達すると見られます。

 いわゆる「就職氷河期」の時代に新卒一括採用を減らした大企業では、30代、40代を中心に人手不足が顕在化しており、デジタルトランスフォーメーション(DX)による生産性向上が大きな課題となっています。それが、コンサルティング需要が拡大している大きな理由です。

 なお当社では、DXとは、企業がクラウド、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術、モビリティなどの「第三のプラットフォーム」の技術を活用して、新しい製品やサービス、新しいビジネスモデル、新しい関係を通じて価値を創出し、競争上の優位性を確立することと定義しています。

 実はビジネスコンサルティングの市場規模予測については、今年3月に上方修正しました。もともと高い需要が続いていましたが、それに対して、コンサルタントの採用が追いつかないと見られていました。しかし実際には、2017年も採用のペースが衰えず、人員を確保できたことが上方修正の要因です。

 人材の流動性が高いコンサルティング業界ですが、各社とも優秀なコンサルタントがやめないように、リテンションにも力を入れてきています。

 ビジネスコンサルティングのなかでも、2017年は戦略コンサルティングが前年比9.3%の高い伸びでした。デジタル戦略の策定支援におけるデザインアプローチを活用した発想や、ビジョン策定段階からの支援といった、より全社的、包括的なDX支援についての案件の増加などが高成長につながりました。

 DXの重要性の認識が、一部の先進的な企業だけでなく、一般的な企業の経営層にも浸透しつつあり、その実践方法に悩むクライアントからの需要が継続的に発生することが見込まれます。

 図表にあるデジタル関連コンサルティングとは、DX支援に関わるコンサルティング市場のことです。具体的には、デジタル戦略をはじめ、クラウド、ビッグデータ/アナリティクス、モビリティ、ソーシャルといった第三のプラットフォームの導入と活用、あるいは、同プラットフォームを通じて提供されるIoTやコグニティブ/AI、システム、ロボティクス、サイバーセキュリティ対策などの導入や活用に関わるコンサルティング案件が含まれます。

 ちなみに、同市場の支出額は2017年に前年比47.7%増と非常に高い成長を遂げ、505億円になりました。図表に示すとおり、2022年までのコンサルティングサービス市場全体の成長を牽引していくと予測されます。