仲介役には2つのタイプがある。第1のタイプは、橋渡しをすべき両方の文化に関する経験を持つ人だ。たとえば、大多数がインド人と米国人から成るチームでは、インドと米国両方の文化を経験した人がいれば、その人物は仲介役になれるだろう。私はこのタイプを「文化的インサイダー」と呼んでいる。第2のタイプの仲介役は、チームの中にはない、複数の文化の経験を持つ人である。たとえば、先ほどのチームにいて、オーストラリアと韓国のような国の文化を知っているケースである。このタイプは「文化的アウトサイダー」と呼んでいる。

 私は、文化的インサイダーもアウトサイダーも、チーム全体とは異なる文化的背景を活かしながら、それぞれの方法で仲介役を果たしていることに気づいた。

 実験を伴う研究において、文化的インサイダーは、チーム内の複数の文化にまたがる知識を使って、情報やアイデアを統合していた。言い換えると、文化的インサイダーは、両方の文化の要素を結び合わせたアイデアを提案することが多かった。一方、文化的アウトサイダーは、中立的な第三者としての立場を活用して、チーム内の他の文化から情報やアイデアを引き出していた。すなわち、文化的アウトサイダーは、他のチームメンバーに質問をぶつけて、有意義な文化的知識を教えてもらう傾向があった。どちらのタイプの仲介役も、チームレベルでの創造性を高める働きを担っていたのである。

 これは組織にとって、どんな意味を持つのだろうか。

 この研究が示しているのは、何よりもまず、単にさまざまな文化に属する人を集めることで、創造的な成果が生まれることを期待するだけでは不十分である、ということだ。チームが創造性のポテンシャルを最大限に発揮するには、その中に少なくとも1人、文化的インサイダーかアウトサイダーがいることが欠かせない。

 後者のタイプ(文化的アウトサイダー)は、組織の中ではそれほど知られていないと思われる。異文化間の交流を助ける立場に立てるのは文化固有の知識を持つ人だけだ、という間違った認識を持つ人が多いからだ。しかし実際には、チームの創造性を高めるという点において、文化的アウトサイダーは、文化的インサイダー同様に効力を発揮する。これは多様性の高いチームにとって、とりわけ朗報である。多様性が高いがゆえに、ぴったりの文化的インサイダーがいるとは限らないからだ。

 同時に、誰かを仲介役に任命すればそれで済む、というわけにはいかない。公式の肩書を与えたからといって、その人物が有効に機能してくれるとは限らない。そうではなく、組織の側は、文化的仲介が自然に実現される条件を整えることに心を配るべきである。

 これは大事なことだが、仲介の役目を果たすには、認知面、感情面での相当な努力を要する。このため、心理的安心感の高いチームほど効果的な仲介役が現れやすい。また、チーム全体からの積極的な参加や賛同も必要であり、多様性を1つのリソース、あるいは学習の源と見なすチームのほうが、仲介役は現れやすいだろう。

 多文化的なチームにおけるコラボレーションは、複雑かつ多面的な仕事である。この種の仕事は時に難しいものになるものの、文化的仲介の仕組みを理解すれば、多様なチームが創造的なポテンシャルを発揮するための大きなアドバンテージが得られる。私の研究は、その事実を示している。


HBR.ORG原文: The Most Creative Teams Have a Specific Type of Cultural Diversity, July 24, 2018.


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スジン・ジャン(Sujin Jang)
INSEAD組織行動学助教。グローバル・チームと、多文化的な環境で働くことに関する課題を中心に研究している。