石川 ただし、先進国の中でも日本の消費者には他国にはない特徴があります。企業への信頼は依然として維持されている傾向があり、不快な経験によって企業との付き合いを減らすことも少ないという結果が出ています。とはいえ、後述するように、これをそのまま受け取るのは危険です。

流動化する消費者との
関係を築く2つの方向性

石川雅崇(いしかわ・まさたか)
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
顧客戦略グループ アジア・パシフィック統括 マネジング・ディレクター

同志社大学卒業後、1995年にアクセンチュア入社。ノースウエスタン大学経営大学院(ケロッグ校)アドバンスド ビジネスマネジメント プログラム(エグゼクティブMBA)修了。現在は、成長戦略領域のアジア・パシフィック統括として、デジタルによる企業成長戦略や新規事業戦略の立案、企業変革を推進。グローバルにおけるアクセンチュアの知見/論考を取りまとめるデジタル編集委員の一人。早稲田大学客員教授。 「サーキュラー・エコノミー:デジタル時代の成長戦略」(日本経済新聞出版社)監訳。

――では、どうやって消費者との関係を構築すべきでしょうか。

松下 企業として取りうる方向性は大きく2つあると思います。1つは、消費者と強固な関係を築くことで、自社の顧客として囲い込むという方向性です。

 前回の調査報告(2017年)では、その事例として「アマゾンのストレス極小化」と「NIKE(ナイキ)の喜び最大化」を紹介しています。

●前回調査報告
「無関心化」時代に、日本企業はどう変わるべきか http://www.dhbr.net/articles/-/5028

 もう1つは、消費者の流動を前提として、接点を広げる(網を広げる)ことにより関係性を築く方向性です。

 例えば旅行代理店の場合を考えてみます。従来の旅行代理店は数万~数十万人の顧客基盤を対象に、オンライントラベルエージェンシーは数十万~数百万人の顧客基盤を対象に消費者との関係性を築いてきました。こうした中、プラットフォーマーはさらに大きく網を広げて圧倒的な顧客基盤を築き、それを基に強固なポジションを確立しています(図2)

 

出典:アクセンチュア ※:投資キャッシュフローの直近3年間平均