イノベーションを起こすには
「4つの張力」が基盤になる

山之口:企業の発想力には「4つの張力(図表1)」が源泉になると我々は分析しています。1つは「アート」、未来の姿やビジョンを描く力です。それは企業特有の美意識、社員の誇りや存在意義を描く力とも言えます。さらに、全社員でビジョンや美意識を共有できることが重要で、共通のビジョンを社員が心から共有できる組織力が、新しい発想やビジネスの革新をもたらすのです。

 2つ目は「インテリジェンス」。論理的に検証し、次なる打ち手の確度を上げるために科学する力です。企業にはデータベースやシステムを整えること、社員には事業活動の検証・分析を習慣づけることが問われます。また失敗や成功を言語化することも非常に重要です。

 3つ目は「カルチャー」。企業全体で新しい発想や行動を応援し、賞賛しあえる風土をつくる力です。新しい発想や異端の考え方を認める企業文化があるかないかで、イノベーションの実現確率は大きく変わります。

 そして4つ目が「プロダクション」。社員や現場から生まれる発想を、ビジネスとして現場に定着させられる実行力です。昨今は製品やサービスをプロトタイプの段階から世の中に提案し、市場投入の前にユーザーからの評価と試作を繰り返す企業が増えています。社内のリソースだけで開発する自前主義ではなく、社外のパートナーと共にビジネスに定着させるオープンなスタンスが実行力を左右しています。