CEOになるような人物は誰でも、飛び抜けた自信家である。組織のトップに上り詰めるためには、才能だけでなく、極めて強烈な自信が必要だ。したがって、筆者らが直面した最初の課題は、「自信家の経営者と自信過剰な経営者を、どう区別するか」だった。

 筆者らは自信過剰を数値化するため、イン・ザ・マネー(株価が行使価格を上回る)の行使可能なストック・オプションをCEOがどれだけ持っているかを調査した。

 これは、学術研究で広く行われている方法である。理論的には、CEOがこうしたオプションを行使する目的は、資産を分散することにある。したがって、オプションを行使しないCEOは、自社の将来を過度に楽観視している可能性が高い。付与されたストック・オプションを行使しないCEOは、個人資産の分散度が低く、株価が下落した場合、大きな金銭的損害をこうむるリスクにさらされる。個人資産を過度のリスクにさらしても構わないと考えるCEOは、自分の能力をそれほど強く信じているのだから、「自信過剰である」と見なしてよいだろう。

 もう1つの課題は、リーダーシップをどのように数値化すべきか、という点であり、こちらはさらにやっかいだった。

 リーダーシップにはさまざまな側面があるが、金融経済学者である筆者らは、リーダーシップを「重要なステークホルダーを動機付けて、より多くの努力を引き出す能力」と定義している。現代の企業におけるリーダーシップは、「部下に一定の行動を行うよう指示を出す正式な権限」とはまったく異なる。現代企業の優れたリーダーは、従業員がよりいっそうの努力をするよう動機付け、奮起させる能力を持っているのだ。

 そうしたCEOはまた、自分の会社の領域に留まらず、外部のサプライヤーまでをも動かして、みずからのビジョンのために多額の投資を行わせることもある。たとえば、アップルは自前の製造施設をほとんど持っていなかったので、iPhoneは主要サプライヤーの強いコミットメントがなければ存在しえなかった。また、アップルがタイトなスケジュールを完遂できたのも、発売まで製品の秘密を厳守できたのも、従業員のコミットメントが非常に強かったからである。