「現代的な年長者」の時代の働き方

 2013年初め、私は50代半ばで、ハイテク系スタートアップのAirbnb(エアービーアンドビー)に上級幹部として加わり、労働市場に復帰した。私の年齢は同社の平均的従業員の2倍で、直属の上司で共同創業者兼CEOのブライアン・チェスキーは私より21歳も若い。

 DQ(デジタル知能)の不足は、これまで培ったEQ(心の知能)で埋め合わせた。そして、若年者たちと助言・指導を互いに授受し合うことによって、私はいわば「現代的年長者(Modern Elder)」へと生まれ変わった。すなわち、知恵と経験を、好奇心や初心、そして若年者から学ぼうという気持ちと組み合わせる年長者だ。5つの異なる世代が初めて職場で共存する現代には、このような世代間の協働を大切にし、それを促す方法を考え出すことはきわめて重要である。

 現代的年長者が活躍するために必要な意識変革は、言葉から始まる。「年長者(elder)」という言葉を、「高齢者(elderly)」と別にしなければならない。「高齢者」から連想されるのは、年老いて、社会に頼ってばかりで、若者と断絶している人だ。しかし、社会は歴史的に見ると、若者を助ける年長者を頼りにしてきたのだ。現在、老人ホームに入居する人々の平均年齢が81歳であることを考えると、高齢なだけでなく生産的な、円熟した年長者が周囲に大勢いることになる。

 では、現代的年長者と、年齢差別の改善は、どちらが先なのだろうか。組織に内在する熟練者の技能を発掘すれば、より有意義な世代間協働を促進でき、優れた知恵とさらなる成功につながる環境を生み出すことができる。

 年齢差別とは、誰もがいつかは影響を受ける数少ない差別の1つである。政治的、文化的に大きく分断された今日では、やがて来る「老い」が、人々を連帯させる条件となる。

 いまこそ、他の分野の多様性と同様に、年齢の多様性も受け入れるべきだ。知恵は私たちを導き、成功をもたらしてくれる。現代という時代には、現代的年長者が必要なのである。


HBR.ORG原文:How Do We Combat Ageism? By Valuing Wisdom as Much as Youth. June 21, 2018.

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チップ・コンリー(Chip Conley)
著述家。著書は『ニューヨークタイムズ』紙のベストセラーリスト入り。新著、Wisdom@Work: The Making of a Modern Elderが近日発売。