ASEAN内での信頼の厚さも魅力

――世界の企業から見た場合はどうですか。

Alison Kennedy
Accenture Strategy,
ASEAN Managing Director
アリソン・ケネディ
アクセンチュア・ストラテジー
アセアン地区 マネジング・ディレクター

アリソン シンガポールを中心としたASEAN地域には、約6.5億人の消費者がおり、シンガポールで開発した製品・サービスを周辺国に展開させ、スケールアップしやすいという利点があります。ASEANでは経済成長によって所得が上がったために中間層が拡大しており、2050年までに欧州、米国、中国に次ぐ世界第4位の経済圏になると見込まれています。また、その先駆けとして先進国の仲間入りを果たし、欧米諸国並みに整備されたICTインフラを持つシンガポールは、他のASEAN諸国からの信頼が厚いという優位性もありますね。

 なぜシンガポールがイノベーション向きの国なのか、次のような3つの理由が考えられます。

 1つは、多様性です。デジタルに明るい若者が多く、活気があること。多民族・多言語国家で、イノベーションを生み出すダイバーシティを備えています。シンガポール政府が、プログラミング言語やコンピュテーショナル・シンキングなど、新たなスキルや知識が学べる教育プログラムの提供に熱心なのも追い風となっています。

 2つめは、多国籍企業からスタートアップまで、企業の規模を問わず、シンガポール政府がしっかりとサポートしていること。なかでもスタートアップのエコシステムは整備が進み、東南アジアのハイテク系スタートアップの一大拠点として存在感が高まっています。

 最後は、シンガポールが国を挙げたデジタルイノベーション戦略を推し進め、積極的に投資していることが挙げられます。業界は、エレクトロニクス、石油化学・化学、エンジニアリング、ライフ・サイエンス、物流、情報通信・メディア、教育サービス、ヘルスケアサービスなど多岐にわたっており、これらの分野における競争力の強化と海外企業の誘致を強力に進めています。