こうしたプレーヤーのうち、何が多く集まるかによってエコシステムは図2のように大きく3つの形態に分類できます。

 1つは「チャネル補完型」。お互いに自社がリーチできない顧客を持ち寄って強力な顧客ネットワークを創り上げるエコシステムです。最近の例としては、トランビが手がける「企業の売り手と買い手が直接交渉できる事業承継・M&Aのマッチングプラットフォーム」が挙げられます。ここには、それぞれ地域で顧客を持つ全国の地銀が参加し、1つの大きな市場を創り出しています。

 もう1つは「ケイパビリティ補完型」で、複数のケイパビリティを持ち寄って新たな市場を創り上げるエコシステムです。例としては、スタートアップエコシステムや規格連合体などが挙げられます。

出典:アクセンチュア

 イスラエルでは、政府とスタートアップ、ベンチャーキャピタルがエコシステムを作り、シリコンバレーに次ぐ、スタートアップの一大拠点となっています。政府のバックアップの下、通信やセキュリティなどの軍事技術をベースとしたハイテク分野で革新的な技術を持つスタートアップが数多く生まれ、世界中の大企業がこうしたスタートアップとの協業を模索しています。

 規格連合体は最近の例でいえば、ブロックチェーンですね。この規格連合体は3つに集約されつつありますが、最終的にどこかが勝者になっていくかというとそうでもないようです。異なるブロックチェーンの規格同士をつなげる新たな技術が開発され、いずれエコシステム同士がつながり、1つの大きなエコシステムを形成するようになると考えられているからです。新しい技術の登場によってエコシステム同士がつながるというのは今後、1つの潮流になるかもしれません。

 そして最後は「モール形成型」です。アマゾンのECモールに代表されるように、複数のサービス事業者を集めて1つの巨大なモールを創り上げるエコシステムです。これはイメージしやすいですよね。

――エコシステムを成功させるために重要なポイントは?

山村 1つは、エコシステムの中心となる盟主が自らがとるリスクを明確に打ち出し、実行できていることです。例えば、アマゾンはサプライヤが参加しやすいECモールを創出するために多額の先行投資を行なって大きなリスクをとっていますよね。加えて、盟主が参加するプレーヤーを律するルールをいかにうまく作れるかどうかも重要になるでしょう。