意外にも日本企業は
エコシステムに積極的

――アクセンチュアでは「エコシステム」に関して初めて本格的なグローバル調査を実施したそうですね。結果はどうでしたか。

山村 国内外を問わず、多くの企業がエコシステムは「自業界変革の重要な手段」と位置づけています。保守的な日本企業はエコシステムに関しても消極的だと思っていました。しかし、実は他国企業に比べて突出して積極的で、かつ幅広い業界と長期的な関係を望む傾向があることがわかりました。また、「パートナーに対して企業文化が適合しているかどうかを重視する傾向がある」こと、エコシステム形成の際の課題では「他国に比べて文化やマインドセットをより重視している」ことも明らかになっています。

 ただ、我々は自動車業界に代表されるような系列構造や財閥をエコシステムとは認識していません。この調査結果をみると、そうしたグループ企業もエコシステムの一環として捉えられているようですね。

――エコシステムの認識にズレがあるのですね。

村上隆文
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
テクノロジー戦略グループ日本統括
マネジング・ディレクター

早稲田大学大学院卒業後、2002年アクセンチュア入社。主に金融機関向けにIT・テクノロジー戦略を担当。15年以上に渡り、金融業界におけるIT戦略、ITトランスフォメーション、PMI等のプロジェクトに従事。テクノロジー戦略、イノベーション戦略、IT投資戦略、ビジネス・ITトランスフォメーション、大規模システム導入等に多くの知見を持つ。経済産業省「産業・金融・IT融合に関する研究会」(フィンテック研究会)メンバー。

村上 たしかに、昨今のエコシステムは、新しい市場の創出を前提に共創型ビジネスモデルをどう生み出すかがポイントになっているので、日本企業の認識とは変わってきています。とはいえ、複数の企業が寄り添うことで付加価値を生み出すという発想からすると、他国に比べて日本企業の出発点は高いといえます。今後、この違いを理解し、エコシステムを事業戦略にうまく取り入れられるかどうかが成長の鍵となるでしょう。

 今求められているエコシステムは、昔の家庭用ビデオの規格争い「ベータ対VHS」のようなライバル会社と競合するためのものではありません。競争の波はあらゆる方向から押し寄せますから、目先のライバルだけを見ていても仕方がないのです。また、このような競争は、勝負がついたときに負ける側に投資してきた企業は大きな損失を被り、機会損失をもたらします。そうしたムダなコストを避けるためにも、新しい付加価値を生み出すために自社のリソースや強みをどう活用するかを最優先に考えてエコシステムに参加すべきです。

 後ほど詳しく説明しますが、エコシステムを構成するプレーヤーは大きく5つに分かれます。自社のリソースや強みを踏まえ、どのプレーヤーのポジションを担うかをしっかりと見定めることが大切です。