1.その場の誰よりも「25%見栄えがいい」身だしなみにする

 あるエビデンスによれば、人は誰かが部屋に入ってくるやいなや、瞬時にその相手の品定めをする。その際、最初にいや応なく認識するのは、相手の服装である場合が多いという。おそらく「服装で好印象を与えよう」というアドバイスを耳にしたことのある方も多いだろうが、これは実際に何を意味するのだろうか。

 数年前に私は、元米国陸軍曹長で現在はジョンズ・ホプキンズ大学でリーダーシップを教えているマット・エバーズマンに会う機会を得た。彼がソマリアのモガディシュで指揮した戦闘は、映画『ブラックホーク・ダウン』のモデルとなった。

 彼は私に、こう言った。「偉大なリーダーは、自信のオーラをまとっています。軍隊では、部下と最初に会うときに、自分の身だしなみがまず重要となります。常に他の誰よりも、少しよい装いをすれば、自信があるように見えるのです」。彼が「少し」よいと言ったことに留意してほしい。服装はその場にふさわしいものであるべきだが、他者よりもやや洗練されている装いを目指そう。

 CEOのヘッドハンターとして活躍するジェームズ・シトリンは、かつて候補者に対して、その会社で一般的なドレスコードよりも「さらに25%フォーマルな」服装をするよう助言している。衣装ダンスを年に1~2回一新し、体形に合った服を身につけ、肌や髪の色に合った色の服を選び、履き古した靴は履かないことだ。

 2.話すペースに気をつける

 話し手の声の質については、高度な歌唱レッスンを受けて呼吸と音程をコントロールでもしない限り、できることはあまりない。けれども、話し方を向上させることはできる。具体的には、話す速度だ。

 私は自身のオーディオブックでナレーションを担当しているが、最初に録音スタジオ入りした日、読み始めると、音声製作者が私にもっとゆっくり話すように言った。オーディオブックの理想的な速度は、対面での日常的な会話よりも少しゆっくり目である。なぜなら、聞き手には、話し手の口の動きや顔の表情を読み取る知覚手段がないからだ。1分間に約150ワードがちょうどよい。

 オーディオブックの録音でなくても、オンラインのセミナーやプレゼンのような、聴衆が話し手の声しか聞けない場合にも、同じ法則が当てはまる。話し方が速すぎると、信ぴょう性が損なわれるのだ。

 ライブ画面で聴衆に話している場合には、もう少しだけ速いペースでよい。対面の会話としては自然だが、やはり急がないよう注意することだ。

 ペースが素晴らしい話し手の1人に、ブライアン・スティーブンソンがいる。彼は人権弁護士で、TEDトークではこれまでで最長のスタンディングオベーションを受けている。

 私がスティーブンソンにその語り口について尋ねると、レストランで夕食をともにしている友人に話しているイメージで、と答えてくれた。彼のTEDトークは、1分間当たり190ワードである。オーディオブックよりもやや速いが、矢継ぎ早にしゃべる自己啓発スピーカー(1分間に220ワードほどだろう)より速くはない。

 3.長い言葉を短い言葉に替える

 話がスマートだと思われたいなら、簡単な言葉を使うことだ。長く複雑な文や専門用語を使っても、まったくスマートには聞こえない。むしろ、その逆だ。

 ノーベル賞を受賞した心理学者、ダニエル・カーネマンは、著書『ファスト&スロー』の中で次のように記している。「信頼できる知的な人と思われたいのなら、平易な言葉で足りるところに難しい言葉を使わないことだ」

 平易な言葉を使っても、メッセージの質を落とすことにはならない。複雑な概念を単純な言葉で言い表せてこそ、信ぴょう性と敬意を勝ち取ることができる。

 私は最近、大手企業に健康保険プランを提供するハイテク企業、コレクティブ・ヘルスの共同創業者と話をした。彼いわく、同社は保険に関する説明文書を、小学3年生が読んで理解できる言葉で書くよう心掛けているという。ほとんどの顧客は保険用語について十分に理解できていないことが、調査から示されているためだ。理解可能な言葉で伝えることにより、顧客が誤ったプランを選ぶ可能性が低くなる。

 4.軽いストレスの下でリハーサルをする

 一流のアスリートやプロフェッショナルについて研究している神経科学者によれば、軽いストレスがある状況で練習すると、最も効果があるという。言い換えれば、本番中に起こりそうな状況を模した環境でリハーサルをするということだ。

 重要なプレゼンの前には、数人を集めて、本番のつもりでのリハーサルを見てもらおう。場所はオフィスでも自宅のリビングルームでもよいが、1人で鏡の前で練習するよりも効果がある。これによって軽度のストレスをシミュレーションしておくだけで、本番でプレッシャーにつぶされるのを防ぐことができるだろう。

 5.オープン・ポスチャーを維持する

 複数の研究によれば、複雑な思考をする人は、手でも複雑なジェスチャーをするという。話をする時は、両手をポケットに入れたままや、両腕を脇に下げたままではいけない。自然で心のこもった手のジェスチャーを使おう。

 1つの秘訣は、ボディーランゲージの専門家が「オープン・ポスチャー」と呼ぶ姿勢である。腰の上で両手を広げ、手のひらを上に向けるのがオープンな姿勢だ。閉じた姿勢とは、両手を腰の前で握りしめていたり、腕組みしていたりする姿勢である。演壇の後ろに立っているのも、聴衆との間に壁があるので、閉じていると見なされる。書見台(とメモ)から離れ、聴衆とやり取りをして場を盛り上げる大胆さを見せるとよい。

 共有すべき素晴らしいアイデアや成果がいくらあっても、自分のメッセージを自信をもって伝えられなければ、聞き流されるだろう。話の内容と同じだけ、見せ方と聞かせ方にも説得力を持たせれば、聴衆の元に届くのだ。


HBR.ORG原文:5 Ways to Project Confidence in Front of an Audience, May 28, 2018.

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カーマイン・ガロ(Carmine Gallo)
ハーバード大学デザイン大学院のエグゼクティブ教育学部講師。著書に、Five Stars(未訳)、『TED 驚異のプレゼン』、『ビジネスと人を動かす 驚異のストーリープレゼン』などがある。ツイッターは、@carminegallo