これほど高い目的意識を持ったエグゼクティブでさえ、新しい人脈を十分に築けなかったことからも、コンフォートゾーンの引力が強烈なことは明らかだ。では、どうすれば、その引力を退けることができるのだろうか。

 最善策は、単に新たな人脈をつくろうとするのをやめることかもしれない。代わりに、新しい人脈をつくることそのものより、何に参加をするのか、その活動を重視することで、多様な人との新しい関係が育まれる可能性が高い。

 ブライアン・ウッジ(社会学者、ネットワーク・サイエンティストで、ノースウェスタン大学ケロッグ・スクール・オブ・マネジメントのリチャード L. トーマス記念講座教授、リーダーシップと組織変革を専門とする)によれば、「強力なネットワークの構築は、偶然の出会いを通じて築かれるわけではない。リスクもリターンも比較的大きい活動で、しかも多様な人とともに行う活動を通じて築かれます」。言い換えれば、異業種交流会でのおしゃべりが強力な人脈づくりにつながる可能性は、多様な人の集まるプロジェクトやチーム、あるいは活動に積極的に参加することに比べると、はるかに低い。

 ネットワーキングイベントの問題は、人と話すこと以外に大きな目的がない点だ。より大きな目的がなければ、つまりリスクの大きい活動がなければ、居心地のよい会話の先に進むインセンティブはほとんど働かない。一方、リスクが大きければ大きいほど、既存のコネクションや似た者どうしに見える人が提供できるものでは、必要が満たせなくなる。そこで、より多様な人との出会いを求めて突き進むことになる。

 この手の活動として、さまざまな規模が考えられる。たとえば、非営利団体の役員を務める場合もあるだろうし、チャリティー募金活動を企画したり、アマチュア・スポーツリーグに参加したり、新しい趣味を始めたりするのもよい。とにかく、いつもより多様な人が集まり、一人ではなしえない大きな何かを達成するために団結して取り組む活動に参加することだ。

 この種の活動に投じた時間の見返りは、いわゆる交流イベントに出席するよりも、はるかに大きい。(しかも、スポーツリーグがもたらす健康上の利益とか、慈善団体と協力する社会的利益だってある)。

 だから、次のネットワーキングイベントはパスしていい。もう2度と参加しなくてもかまわない……ただし、その分の時間は、適切な共同活動に再配分しよう。


HBR.ORG原文: Go Ahead, Skip that Networking Event, May 14, 2018.

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デイビッド・バーカス(David Burkus)
オーラル・ロバーツ大学准教授。経営学を担当。専門はリーダーシップとイノベーション。既刊に『どうしてあの人はクリエイティブなのか?』がある。最新作は2018年5月刊行のFriend of a Friend...。詳細はウェブサイトを参照。