研究結果

 我々は、多様な業界の従業員187人を追跡し、2週間にわたり、労働時間における彼らの振る舞いと経験を収集した(経験サンプリングという調査法)。その結果、従業員が時間管理計画を利用すると、日々のエンゲージメントと生産性に強力なプラスの効果があることが明らかになった。

 加えて、強力な効果が生じるのは、仕事中に邪魔される頻度が少ない場合がほとんどであることがわかった。中断されてばかりの日には、1日の時間管理を計画しても効果は著しく低かったのだ。事実、中断が非常に多い場合には(我々のサンプルでは労働時間の約20%)、日々の時間管理はエンゲージメントと生産性をまったく向上させなかった。

 一方、不測事態への対応計画も、エンゲージメントと生産性の向上に寄与していた。興味深いことに、そのプラスの効果は、従業員が就労日に経験した邪魔による中断の頻度に関係なく、維持されていた。

 つまり、時間管理計画の効果は、中断が生じると低くなるが、不測事態への対応計画は、中断の頻度に関わらず効果が持続したのだ。

日々の計画を仕事に当てはめる

 研究からは、次の事実も明らかになった。従業員による計画のうち相当数(約30%)は、やり方が日によってまちまちであり、ほとんどの人は計画を毎日立てるわけではなかった。また、ある日に時間管理を採用した人が、同時に不測事態への対応計画も採用するわけでは必ずしもなかった(逆の場合も同じ)。さらに、就労日全体の約40%において、従業員が中断に遭う時間の量は不規則であった。

 我々の研究結果をふまえると、従業員に必要なのは、これら2つの重要な計画法についてもっとよく知り、日々の仕事のどんな場面で活用すべきかを理解することだ。その手助けとして、以下のような段階的な手引きを示したい。

 1. 1日の仕事を始める前に(前の晩や当日の朝など)、その日の計画を立てる時間を数分確保する。

 2. どのような1日になりそうか、仕事中に中断に遭うことが予想されるか否か、それはどれくらいの頻度か、を検討する。自分の時間を守るために境界を築き、中断をなるべく少なくするためには、何ができるだろうか。過去の経験に照らして、実際にどの程度中断が入ると考えられるだろうか。

 3. 中断がごくわずか、あるいはまったくないと想定される場合には、時間管理計画を採用する。意欲的な「To Doリスト」を設定し、作業の優先順位づけをして、それに基づいて時間と労力を割り当てるのだ(関連記事)。

 たとえば、時間とエネルギーがいちばんあるときに、難しい作業やクリエイティブな作業をするように計画する。脳のエネルギーをあまり必要としないときに、日常的な業務を入れる。中断が限定的であれば、このような計画によってエンゲージメントと集中力が高まり、より多くを完遂できるようになる。

 4. 頻繁に中断が入ると予想される場合には、不測事態への対応計画を採用しよう。その日に完遂できる現実的な数の作業を書き出す。合わせて、どんな形で邪魔が入りそうか、それによる中断が生じたらどう対処するかを、時間を取って検討する(関連記事)。この方法によって、中断によりうまく対応しやすくなる。想定外の邪魔や遅れに対し、苛立ったり気力を削がれたりせずに意欲と集中力を保てるようになるからだ。

 現在のテクノロジーの潮流をふまえると、従業員は今後もますます多くの中断に遭い、情報の洪水を浴び続けるだろう。つまり、邪魔が入ることで職場でのエンゲージメントが絶えず脅かされ、有意義な仕事での進捗が妨げられるということだ。

 しかし、仕事への意欲と関わり方は、自分でもっとコントロールできる。そしてそれは、日々の計画を少しばかり調整してみる、という単純なことから始まるのだ。


HBR.ORG原文:Research Shows a Simple Way to Increase Your Engagement at Work, April 30, 2018.

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マイケル・パーク(Michael Parke)
ロンドン・ビジネススクールの組織行動学助教授。従業員のエンゲージメントをより効果的に高め、創造性と総合的パフォーマンスを向上させるために、組織に何ができるかを研究している。

 

ジャスティン・ワインハート(Justin Weinhardt)
カルガリー大学ハスケイン・スクール・オブ・ビジネスの組織行動・人材学准教授。従業員のモチベーション、意思決定能力、精神の健全性を高める方法について研究している。