ストレッチ目標を設定する

 直近の休日のことを思い出してほしい。自宅やマンション、あるいはその周辺で、何か作業をしようと決めただろうか。ブラブラして過ごし、行き当たりばったりで細かい用事をいくつか済ませただろうか。あるいは、大きな作業に取り組もうと決めて、たった1日でこんなにできるものなのかと驚いたかもしれない。

 大きな仕事に立ち向かうとき、人は自然と作業のペースを上げ、気を散らす要因を遠ざけようとする。かなり高めのストレッチ目標を達成しようと意識を集中すると、一種のマジックが起きるのである。筆者らの調査で最も多くを成し遂げた人たちは、ストレッチ目標を設定することを習慣にしていた。

 安定を保つ

 100%信頼できる人が、あなたの周囲にもいるだろう。その人が「何とかします」と言えば、必ず何とかなる。筆者らの調査で最も高い生産性を示した人々は、時期によって生産性が変動することがなかった。仕事をずるずると後回しにして、あとで徹夜して挽回するといったこともなかった。生産性の高い人は、毎週、毎月、安定して結果を出す方法を見つけることができた。そういう人の仕事には節目とリズムがあり、それがペースを維持するのに役立っているようだ。

 知識と専門技術を身につけている

 知識や専門技術の欠落ほど、生産性の妨げになるものはない。自分がしていることを理解していれば、仕事のペースを上げても品質が落ちることはなく、短時間できっちりと仕事をこなすことができる。使い方を示す動画をオンラインで探したり、同僚にアドバイスを求めたりする時間も必要ない。

 筆者らの研究で最も生産的だったプロフェッショナルたちは、必要な場合はためらいなく助けを求めたが、その頻度は低かった。また、新しいスキルを意識的に身につけ、自分の専門技術を広げる努力をしていた。そのため、スキルが高く、仕事が正確で、しかも短時間でこなすことが可能となっていたのだ。

 結果を強く求める

 目標を達成する責任を引き受け、無理のないペースで仕事をして、予想通りの結果を出す、というのがふつうの人の働き方である。しかし、より迅速に、かつ結果をより早く出すことに強い意欲を持つ人もまれにいる。そういう人は、「やることリスト」にチェックを入れることに尋常でない喜びを覚えるのだ。競争好きで、しかも同僚たちとだけでなく、自分自身とも競争する。新記録のパフォーマンスを達成し、さらに自分の記録を塗り替えていくのである。

 問題を予想して解決する

 最も生産性の高い人たちは、問題解決に秀でた能力を持つ。革新的なソリューションを編み出し、より効率的に仕事をこなすことができる。また、起こりうる問題を予想し、解決策を前もって考えておく傾向があるため、そうでない人が直面する問題を避けることができる。社会心理学者はこれを「メンタル・コントラスティング」と呼ぶ。自分が達成したい目標と、その妨げになり得る問題の両方を思い描くことが、目標を達成するうえで有効であることが研究によって明らかになっている。

 率先して始める

 ふつうの人にとって、仕事を成し遂げるうえで一番難しいのは、その仕事を始めることだ。最も生産性の高い人々は仕事を始めるのが早く、指示を与えられる前に動き出す。そのため、そういう人が求めるのは許可ではなく、寛容である。言われる前に動いてしまうので、トラブルに巻き込まれることもある。関係者全員が納得する前にプロジェクトを開始してしまうこともあるからだ。しかし、上司に怒られることはほとんどない。結果がものを言ってくれるからである。

 協調性がある

 これまで述べてきた内容から、抜群に生産性の高い人は一匹狼でやり手だが他の人と協力するのは苦手、というイメージを持ったかもしれない。しかし、筆者らの研究ではそうではなかった。現在の複雑に入り組んだ組織において、1人で立ち回っていてはほとんど何も成し遂げられない。あらゆる事柄が高度に相互依存しているからだ。筆者らの研究では、最も生産性の高い人々は協調性が高く、他の人と協力して働くことができた。そのため、同僚の怒りをなだめるために多くの時間を取られることはない。そもそも、人の気に障るようなことをあまりしないのである。

 生産性を高めたいなら、上記の7項目をチェックし、改善できるところはないか考えてみよう。腰が重くてなかなか始められなかったり、安定した結果が出せなかったりしていないか。

 もしあなたがマネジャーで、部下が生産性を高められるよう支援したいと思っているなら、上のリストで何か役に立ちそうな項目はないかチェックしてほしい。たとえば、部下は懸命に働いているが、生産性を高めるのに必要なスキルが不足しているのかもしれない。そうしたスキルを身につけるのを助けられないだろうか。あるいは、ストレッチ目標を設定するよう促すことはできないだろうか。

 最も生産性の高い人々を見ていると、魔法でも使っているのではないか(でなければ手抜きをしているのではないか)と思うかもしれない。しかし実際は、抜群の生産性を可能にしているのは、一連のスキルにすぎない。スキルならば、誰もが身につけて活かすことができるはずである。


HBR.ORG原文: 7 Traits of Super-Productive People, April 20, 2018.

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ジャック・ゼンガー(Jack Zenger)
リーダーシップ育成コンサルタント会社、ゼンガー・フォークマンの共同創設者兼CEO。『ハーバード・ビジネス・レビュー誌』掲載の論文「リーダーシップ・コンピテンシー強化法」(DHBR2012年2月号)およびSpeed(未訳)の共同執筆者。ツイッターはこちら

ジョセフ・フォークマン(Joseph Folkman)
リーダーシップ育成コンサルタント会社、ゼンガー・フォークマンの共同創設者兼社長。『ハーバード・ビジネス・レビュー誌』掲載の論文「リーダーシップ・コンピテンシー強化法」(DHBR2012年2月号)およびSpeed(未訳)の共同執筆者。ツイッターはこちら