ケイパビリティ評価―3.ビジネスケース策定

 3つ目のステップはビジネスケースの策定である。ここでもデジタルM&Aの特性を踏まえたアプローチが必要である。

 前述の通り、デジタルM&Aの対象会社は一部の例外を除いて小規模なスタートアップが多く、買い手企業の期待は対象会社のスタンドアローン価値よりも対象会社が持つケイパビリティをレバレッジしてビジネスをいかにスケールできるかに向けられる。したがって、デジタルM&Aでは「実現できそうなビジネスケースをどう正確に見積もるか」よりも、「対象市場でリーディングポジションを確保するため、どうすれば対象会社のケイパビリティをスケールさせられるか」がより重要な論点となる。あるいは、対象会社が持つケイパビリティをテコにしてスケールアップさせていくために必要な要素を洗い出し、それらの要素をどのような順序でどのような時間軸のなかで実行していくかのロードマップ検討が中心といったほうが正しいかもしれない。

 たとえば、買収直後は既存の人材をいかにリテインするかを最優先とし、それに必要な資金やリソースを見積もる。次の段階では対象会社のキーメンバーと買い手企業のキーメンバーとのコネクション構築の場を積極的に設けてコラボレーション推進の土壌をつくり、さらに、対象会社が買い手企業のリソースをうまくレバレッジできるための仕組みをつくる、さらにその後は必要な人材を採用・育成して対象会社自身のスケールアップを図る、といったロードマップをつくり、追加投入が必要なリソースの見積もりまで含めた具体的な仮説を持っておく必要がある。