ケイパビリティの特定-①エコシステム参加者が享受する価値の整理

 まず対象会社のビジネスを成立させているエコシステムの各参加者(自社、顧客、パートナーなど)がどのような価値を享受しているかを理解する。たとえば代表的なデジタルビジネスの一つである配車マッチングサービスの場合、ウーバーやグラブなどの配車プラットフォーマーを中心に、ユーザーである乗客、サービス提供者であるタクシー会社、さらに個人ドライバーがプラットフォームに集まり、それぞれ以下のような価値を享受することでエコシステムが機能している(図5)。

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出所:アクセンチュア

 こうした一般消費者も利用する有名なサービスに関してはエコシステムのメカニズムもよく知られているが、実際M&A検討の対象となるビジネスはそうしたケースばかりではない。

 たとえば海外で監視カメラや映像処理技術を活用して民間企業がサービス提供している交通違反検知ソリューションのケースを見てみよう(図6)。このソリューションは地方自治体から業務受託したソリューションプロバイダーが監視カメラの設置・メンテナンスから交通違反映像の撮影、映像データの管理など一連の業務を一括して提供する。地域住民にとっての価値は交通違反の抑止を通じた交通安全の確保、地方自治体にとっても地域の交通安全確保が第一の目的だが、加えて有人でのパトロール・取り締まりと比較したコスト効率の確保、さらには罰金による自治体の収入確保も重要な価値となっている。さらには重要なステークホルダーである裁判所にとっても証拠映像の精度・信頼性の向上と資料としての取り扱いの利便性向上が価値となり普及の要因となっている。

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出所:アクセンチュア