職場で反逆者と周囲との間に起こるもう1つの問題は、時として生じる対立だ。反逆者は、反対意見を表明することがよくある。しかし、ある程度の緊張関係は好ましいものだ。なぜなら、人々が「すべき」から離れ「できる」に移行する一助になるからだ。

 ある研究によると、人は対立している最中には、協力的な雰囲気にあるときに比べ、より独創的な解決策を導き出すという。また、緊張関係にあると、選択肢をより吟味して代替案をじっくり検討するようになり、斬新な発見にたどり着きやすい。

 シカゴ拠点の資産運用会社アリエル・インベストメンツは、この点を理解し、会議では故意に批判を述べる悪魔の代弁者を指名している。これが2008年の金融危機の際、同社によい結果をもたらした。取り扱う株式を熟慮して選ぶようになったのだ。ある株式に注目した社員が売りや買いを薦めると、他の社員がその反対を主張する、というやり方をしたのである。

 私自身の研究でも、人は相反すると思われる2つの目標を達成するよう求められると、より画期的なアイデアを生み出すことがわかっている。

 たとえば、私と同僚は被験者を実験室へ招き、さまざまな製品のプロトタイプを限られた道具でつくってもらう実験を行った。あるグループには斬新な製品を、別のグループには安価な製品を、そして、3つ目のグループには斬新な製品を低コストでつくるように指示した。その後、別のグループの被験者に、これら3グループの製品の独創性を評価してもらった。

 すると最も高い評価を得たのは、相反するように思えた2つの目標(斬新かつ安価)を与えられたグループがつくった製品だったのである。

 もちろん、対立や意見の相違は度が過ぎてしまうこともある。しかし、状況をより困難にすることで、より優れた結果が導き出されることもあるのだ。

 オステリア・フランチェスカーナは、トップみずからが規則破りを勧めている職場だ。オーナーシェフのマッシモ・ボットゥーラは、一般的なリーダーの型に当てはまらない。彼は第一戦に立ち、朝一番で店の前の道路を掃除し、スタッフの食事の準備を手伝い、休憩時間にはスタッフとサッカーを楽しみ、配達のトラックから食材を降ろす。

 彼は、イタリア料理のしきたりに挑戦することを楽しんでいる。100年前、イタリア料理のボリート・ミスト(茹肉の盛り合わせ)をつくるために肉を茹でるのは、料理法が限られた中での現実的な選択だった。ボットゥーラが行っている「肉の真空調理」は、この料理を風味がいっそう豊かで見た目にも美しい料理へと一変させた。彼はこれを、ボリート・ノン・ボリート(茹でない茹肉)と呼ぶ。

 予期せぬことをするリーダーの姿を見ている他のスタッフもまた、予期せぬ行動を歓迎している。自分たちが働いている職場は、困っている2人の子どものためにピザを注文しても軽蔑されないところだと、心得ているのだ。

 私たちの誰もが、パルミエーリから教訓を得ることができる。同時に、彼が働くような職場――反逆者が安心して働ける場所――からも学ぶことができるだろう。


HBR.ORG原文:When Solving Problems, Think About What You Could Do, Not What You Should Do, April 27, 2018.

■こちらの記事もおすすめします
仕事における意見の不一致は、なぜそこまで重要なのか
多様性に伴う「居心地の悪さ」こそチームの成果を高める
「建設的な不調和」で企業も社員も活性化する

 

フランチェスカ・ジーノ(Francesca Gino)
行動科学者。ハーバード・ビジネス・スクールのタンドン・ファミリー記念経営管理論講座教授。著書にRebel Talentおよび『失敗は「そこ」からはじまる』がある。