業界および会社を取り巻く環境

 4. 競争環境はどのように展開しているか?

 会社が直面している外部環境を理解するための明確な第一歩は、主要な競合他社による最近の業績、そして、それらの変化を進めてきた行動パターンである。だが新任取締役は、質問を従来の業界企業に限定してはならない。より重要なのは、次なる世代の競争相手は誰かを経営責任者が把握しているかについて、調べることだ。

 その1つの方法として、自社の競合企業のトップ10を挙げるよう求め、それらの企業の競争相手になるのはどのプレーヤーかと質問するとよい――自分たちの業界に、あるプレーヤーが計画的に近づいてきていることがわかるかもしれない。

 5. 自社にとって優先的な機会はどこにあるか?

 会社の業績について学んでいるとき、新任取締役はおのずと、どの顧客区分と製品カテゴリーが近年で最も成長を遂げているのか知りたくなるだろう。また、経営幹部が自社の地域的なモメンタムを――国別の収益成長率だけでなく、理想的には都市レベルにおける、人材や新規イニシアチブの最近の推移という点で――本当に認識しているか調べるのもよいだろう。

 経営責任者は、そのモメンタムを世界主要都市のGDP予測と比較し、主要都市への自社の進出度が、成長潜在力を土台とするとかなり低いことに気づくかもしれない。

 6. 会社に混乱または機会をもたらしうる、不確定要素はどれか?

 業界内の主要トレンドを理解しようとする場合には、「高齢化」などのありふれたトレンドの一覧で終わりにすべきではない。次のステップは、いっそう重要となる。それは、業界が直面している上位3〜4つのトレンドを経営部門に確実に理解させることだ。

 最も効果的な方法は、どのトレンドが最大の不確定要素になるかを質問することだ。経営責任者は、それを活かして想定されるシナリオを考案し、各シナリオの実現確率を見積もり、それぞれが業界に及ぼす影響力を予測できるからである。

 たとえば、自動車メーカーが、台頭する中国メーカーの影響力を予測しようとする場合、2つの不確定要素による市場シェアへの影響を見積もるだろう。中国企業はクリーン技術における優位性を相当規模に拡大させるのか、また、中国企業は先進国の企業をさらに買収するのか。このレベルで具体的に考えることで、経営部門はトレンドを個別の機会または脅威へと落し込んで考えられるようになる。