完璧主義者はどうすれば変われるか

 ここまで読んできて、「まさに自分だ」と思わずうなずいてしまった読者には、完璧主義的な傾向のマイナス面を最小限に抑えるうえで、これから述べる具体的な解決法が役立つだろう。

 成功から学ぶ

 完璧主義者にとって、失敗から学ぶのは難しい。過ちと向き合うことに抵抗があるうえ、反芻を引き起こす原因になるからだ。

 その代わりに、成功から学ぶといい。成功に至った道筋を振り返ることで、たとえ多少の問題があったり、準備万端ではなかったりしても、有意義な結果を出せたことに納得できるようになる。

 このプロセスをたどることで、「狙う前に撃つ」というアクション・オリエンテッドのアプローチがいかに有益か、理解できるようになる。このアプローチでは、徹底的な事前調査と熟考を重ねる代わりに、実体験から得た知識をもとに意思決定やプロセスを微調整するのである。

 もう1つの方法として、完璧主義でなくても成功している、周囲のロールモデルや同僚などを参考にするのもいい。なぜ完璧主義に陥ることなく成果を出せるのか、その行動を観察し、学ぼう。

 迅速な意思決定と行動を促すためのヒューリスティクスを開発する

 ヒューリスティクスとは、毎回ではないがある程度の頻度で、よい判断を導き出すことを目指す経験則である。ヒューリスティクスの開発は、より迅速な意思決定がもたらすメリットと、行動を遅らせて長い時間考えることがもたらすメリットのバランスを取るのに役に立つだろう。

 たとえば職場のイベントを開催するホテルを探したい場合、まず5つの条件を設定し、そのうち最低4つを満たすものを選択する。これは有効なヒューリスティクスの一例だ。

 ヒューリスティクスは、完璧主義者にとって、物事の優先順位を決める非常に優れた手法である。 私の個人的なヒューリスティクスは、「100ドル未満の価値しかない仕事より先に、100ドル以上の価値のある仕事をする」だ。この法則のおかげで、さほど生産的ではないことを優先的にしようとはしなくなる。たとえば、安値で買った不良品の返品に30分もの時間をかける代わりに、その時間をもっと有意義に使えるようになるのだ。

「どうすればあと1%改善できるか」を考える

 これは、問題解決のために、つい物事を複雑にしてしまいがちな人にお勧めしたい方法だ。完璧主義者は完全無欠を目指すため、わずかな改善に対して否定的になりがちだ。だが、「どうしたら自分の行動をいまより1%だけ改善できるか」と考えると、想像以上に簡単な方法があることに気づく。

 たとえば、周囲から「ネガティブで士気をくじく」と思われている人は、毎回の会議で1つ前向きな発言をしてみよう。これは、「1%の改善策」であると同時に、経験則を応用した好例だ。

「反芻」を断ち切る方法を身につける

「反芻」をうまくコントロールできるようになれば、失敗や欠点を受け入れやすくなる。何か1つのことをグルグル考え始めていることに気づいたら、それに執着して思い詰めることが本当に自分にとって役に立つのか、自問自答してみよう。

 反芻していると問題を解決しているように錯覚するが、実際には違う。頭の中で悩みが堂々巡りになっていたり、反芻することで機嫌悪くなったりするようなら、いっそ吹っ切ってしまったほうがよい。

 完璧主義の代償や、完璧主義が生産性や心身の健康、職場や家庭での人間関係にどれほどの影響を及ぼすかを理解する……それこそが、完璧主義という破壊的な傾向を軽減する第一歩となる。

HBR.ORG原文: How Perfectionists Can Get Out of Their Own Way, April 02, 2018.

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アリス・ボーイズ(Alice Boyes)

博士。臨床心理士から作家に転身した。著書にThe Healthy Mind ToolkitThe Anxiety Toolkit(ともに未訳)がある。