競争優位性を維持するためのこれからの公式 

Customer Value(CV)+“Employee Value(EV)”=Competitive advantage

 ご存じのように、生産年齢人口の減少そして働き方改革推進における残業規制により、国内の労働力の総量が減り、この傾向が今後数十年続くと言われている。既存の仕事の一部はマシンに代替されるものの、一方で新しい技術や仕事も誕生するため、企業が求める人材のデマンド総量は変わらない、あるいはマシンに代替できない特定のスキルに対する総量はむしろ上がる可能性がある。このように労働力減少が予見されるなか、働き手優位となり、いまよりも仕事の選好み傾向が高まる。

 加えて、労働力の流動性も高まる。アクセンチュア調査『Future Workforce Survey, 2016』において、ミレニアル世代の76%が、また、ハイスキル層の75%が、自営やフリーランスとして働くことに興味を持っていることがわかった。これはほかの層よりも高い傾向にある。自己実現のための場を探し求めるためにも、フリーランスとしての雇用や短期でのキャリアチェンジなど、働くことの柔軟性と自律性を求める働き手がいまよりも増えるということだ。

 つまり、今後企業のターゲット層ともいえるミレニアル世代かつハイスキルレベルの人材は、「母数が少ない」「仕事の選好み傾向が高い」「流動性が高い」ため、人材獲得が厳しくなるばかりか、仮に獲得できたとしても釣った魚にはエサをやらないではだめで、常に人材を自社に惹きつけておかなければ他社にすぐに移ってしまうというのが、これからの企業と働き手との関係性だ。

 そこで、企業がこれらの人材を惹きつけ獲得し続けたいならば、企業は「働き手」が働くコトや働く場に何を求めているか、つまり“Employee Value(働き手価値、以下「EV」)”をより深く理解し、その対応力を高めていくことが求められる。

 リーダーのかがみとも称されるキャンベル・スープ元CEOのダグラス・コナン氏の言葉、「To win in the marketplace you must first win in the workplace」にあるように、EVを制することがこれからの企業の競争優位性づくりのカギとなる。

EV再考のススメ:“Employee Centric” にEVをとらえているか?

 「自社ではすでにEVのことを理解し対応している」と考える読者がおそらく多いだろう。

●20%の従業員(優秀層、リーダー層、主力部門の従業員など、企業におけるコア社員)だけではなく、80%の従業員のEVにも目を向けているか?

●市場の理解や顧客の理解と同等に、EVの理解に専念しているか?

●“企業にとっての理想”や“経営陣の価値観”をフィルタにせず、いまのリアルなEVを理解しようとしているか?

 上記のうち、1つでもNOがあった場合には、EV再考をお勧めする。

 これまでは、「企業が求める人材とは何か」「現従業員は求める人材像と合致しているか」といった「企業中心(Company Centric)」な理解の仕方が大半だった。それを、「現従業員や採用ターゲット層が求める企業とは何か」「自社は求める企業像と合致しているか」といった「働き手中心(Employee Centric)」な理解の仕方に転換することが今回の“EV再考”である。