ワーカホリックの悪影響を回避する

 調査結果に基づき、ストレスを管理できる水準に維持して健康上のリスクを防ぐのに役立つソリューションを、ここで提案しよう。

 第1のステップは、仕事との関係が不健全になったときに、それを認識できるようにすることだ。すなわち、仕事をコントロールできないと感じ、また実際に、仕事以外の関係まで損なわれている場合である。

 次のステップは、自分の働き方をコントロールする力を取り戻すことだ。そのための1つの方法は、1日の労働時間について明確なルールを設定することである。これにより、1日にこなせる仕事量には上限があることを受け入れやすくなる。「スイッチを切る」のに苦労する場合は、就寝の2~3時間前には仕事を切り上げるとよいだろう。友人に会ったり、映画を見たり、読書をしたり、新しいスキルを学んだりなど、仕事以外で楽しめる活動を始めることも、心理的に仕事から距離を置く助けになる。

 また、自分がなぜ強迫的かつ過剰に働くのか、その理由を熟考することも役立つ。エンゲージメントが高いワーカホリックと低いワーカホリックの間には、仕事のモチベーションに著しい違いがあることがわかった。エンゲージメントの高いワーカホリックが働く理由は、仕事を楽しんでいるか、あるいは仕事に意義を見出しているかであった(いずれも内因性モチベーション)。対照的に、エンゲージメントの低いワーカホリックは、金銭やステータスなどの外因性モチベーションのために働く傾向が強かった。内因性モチベーションは相対的に、楽観主義や努力、粘り強さと関連しているのに対し、外因性モチベーションは往々にして、不安を駆り立て、粘り強さを削ぎ、失敗する可能性を高める。

 先を見越すメンタリティは、内因性モチベーションを持つ従業員の特徴であり、初期の体調不良を感じたときに、このメンタリティが対応策を取るように後押しするのかもしれない。対照的に、外因性モチベーションに伴う可能性がある不安とフラストレーションのために、エンゲージメントの低いワーカホリックはいっそう受け身になるおそれがあり、不健康な仕事習慣を続け、ついには重い健康上のリスクに直面する。

 したがって、新しいプロジェクトを通してでも、あるいは新しい働き口を通してでも、仕事の内因性モチベーションを促進する方法を見つければ、より幸せになるばかりでなく、より健康的になる可能性がある。

 マネジャーが介入することによっても、従業員が内因性モチベーションを見つけるのを助けられる。従業員の仕事へのエンゲージメントを回復させ、より多くのサポートを提供するのである。具体的には、難しくはあるが実現可能なタスクを割り当てたり、煩雑な手続きなどの障壁を取り除いたり、個人的成長とプロフェッショナルとしての成長について話し合ったり、仕事を遂行するためのリソース(たとえば裁量、フィードバック、サポート)を豊富に提供したりすることが考えられる。

 マネジャーは、仕事熱心な部下のコミュニケーション・スキルや時間管理スキルを、強化するのを助けることができる。その方法として、その週にやるべきことのリストを作成したり、長期目標リストを作成したり、緊急のタスクとそうではないタスクを区別したり、集中して重要なタスクに取り組む時間枠をつくったり、といったことが挙げられる。友人や家族も、家庭で精神的かつ実際的なサポートを提供することで、大きな役割を果たすことができる。

 結局、大切なのは、仕事に対する強迫的メンタリティを特定して、悪影響につながるのを防ぐことだ。エンゲージメントを高め、「スイッチを切る」能力を磨けば、仕事中も仕事以外でも幸せを実感しやすくなるだろう。


HBR.ORG原文: How Being a Workaholic Differs from Working Long Hours — and Why That Matters for Your Health, March 22, 2018. 

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リーケ・テン・ブランメルユイス(Lieke ten Brummelhuis)
サイモン・フレーザー大学ビーディ・スクール・オブ・ビジネスの経営学助教授。オランダにあるユトレヒト大学で組織社会学の博士号を取得。関心のある研究テーマは従業員の福利に関するもので、ワーク・ライフ・バランスやストレス、ワーカホリック、回復、健康などがある。

ナンシー P. ロスバード(Nancy P. Rothbard)
ペンシルベニア大学ウォートン・スクールのデイビッド・ポトラック記念講座経営学教授。