注意を払う対象は考えて選ぼう

 この問題に解決策を提示するのが、アテンション・マネジメントだ。これは、コントロールを取り戻すための意識的な方法である。アテンション・マネジメントとは、気を散らす要因を撃退し、1日を通じて優先事項からこなす可能性を高めることである。

 まずは、外的な要因をコントロールしよう。

 ●テクノロジーをコントロールする

 テクノロジーはうまく活用すべきものであり、テクノロジーに支配されては本末転倒である。そこで、メールや、あなたの注意力を喚起するように仕組まれた「プッシュ通知」機能をオフにしよう。そうすれば、自分が選んだ作業や活動に集中して取り組む時間を長くすることができる。スマートフォンは可能な限り(特に仕事中は必ず)サイレントモードに設定し、できれば視界に入らないところに置いておこう。

 ●仕事環境をコントロールする

 仕切りのないオープンオフィスの場合は特に、他者との間に境界を設けるようにしよう。集中する必要があるときは、たとえばヘッドホンを装着したり、「邪魔をしないでください」というサインを掲げたりするとよい。それで効果がなければ、オフィスの別の場所、場合によっては別の階に移動してみよう。状況がさらにひどい場合は、同僚たちと協力し、1日のうち一定の時間帯、または週のうち特定の曜日を、「邪魔しない」時間や曜日に決め、だれもが自分の仕事に集中できるようにするとよいだろう。

 ただし、見過ごされている真実が1つある。私たちの生産性を阻害する要因は、外部からの割り込みだけではない。近年の超多忙な職場でクタクタになっている私たちの脳そのものも、阻害要因になる場合がある。

 問題は、たとえば仕事中にメールが届いて邪魔されることだけではない。常にメールの受信ボックスにつながっていると、数分ごとに邪魔が入ることをあらかじめ予期するようになり、注意力の持続する時間が次第に短くなってしまうのである。すると、メールの送信や文書ファイルの転送といった細かい作業をし忘れるのを過度に恐れるようになり、思いつくとその場ですぐ済ませるようになる。しかし、それでは大量のメールが舞い込む受信ボックスの世界に、あっという間に飲み込まれてしまうだろう。

 さらに、インターネットにつながったスマホを使っていると、世界中の知識が指先1つで引き出せることがわかっているため、何かを知らない状態でいることが耐えられなくなり、「いますぐ検索してみよう」という誘惑に抗えなくなってしまう。

 したがって、内的な要因をコントロールする方法も学ぶ必要がある。

 ●行動をコントロールする

 テクノロジーをコントロールし、「邪魔しないでください」のサインを掲げた時間を利用して、1つのことに集中する練習をしよう。コンピューターの画面に表示するウィンドウは1つだけにし、作業が終わるまで、または、あらかじめ決めた段階に達するまで、完全にその1つの作業だけに注意を向けるようにする。

 1日の間に何回か、コンピューターを離れて休憩を取ろう。さまざまなデバイスの電源を切った状態(テクノロジーをまったく使わない状態)を少なくとも1時間つくり、そうした時間を可能な限り頻繁にもとう。最初は15~20分くらいから始めて、だんだんと1時間、さらに1時間30分へと延ばすようにするとよい。

 ●思考をコントロールする

 これは多くの人にとって最も困難な課題なので、最後に取り上げた。人の心はとりとめなくさまようものである。自分の心がいまとは別の方向へ流れていく様子に注意し、自分が望む方向へとゆっくりと戻してやる練習をしよう。何かに集中しているときに重要な作業を思いついたら、それを素早くメモし、あとで済ませるようにする。オンラインで調べたい情報を思いついたときも、同様にしよう。

 アテンション・マネジメントを行ったとしても、あなたの1日から気を散らす要因がなくなるわけではない。しかし、自分の注意がいつ、どんなときにそれているかが敏感にわかるようになり、これまでに述べてきたような訓練を通して注意力が鍛えられれば、次第に自分の人生を取り戻し、自分にとって本当に重要な事柄にもっと集中できるようになる。

 気が散ることで、あなたの希望や目的を台無しにしてはならない。そうではなく、注意力をしっかりコントロールすることで、あなたの人生そのものをコントロールしよう。


HBR.ORG原文:To Control Your Life, Control What You Pay Attention To, March 15, 2018.


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モーラ・トーマス(Maura Thomas)
受賞経験のある国際的な講演家。個人および法人向けに、生産性向上とアテンション・マネジメント、ワーク・ライフ・バランスについて研修を行う。TEDxのスピーカーであり、RegainYourTimeの創設者でもある。著書にPersonal Productivity SecretsWork Without Walls(以上、未訳)がある。多くのビジネス誌やイベントに登場し、『Inc.』誌では2018年トップ・リーダーシップ・スピーカーの1人に選ばれた。ツイッター(@mnthomas)で発信中。最新記事の通知を希望する場合は、こちらへ。