ここで、不可侵の日とはどんな1日なのかを詳しく紹介しよう。

 これには2つの構成要素がある。1つは、高度に創造的な作業だ。人はゾーンに入るとフロー状態になり、取り組んでいる大きなプロジェクトが一歩ずつ完成に近づく。そして、もう1つの要素が「ニトロ」――壁にぶつかった時に自分に刺激を与えるべく使う、ちょっとした起爆剤だ。

 やる気が起きず、生産性の上がらない場面は誰にでもある。重要なのはそうならないことではなく、そうなったときにさっと取り出せる、一連のメンタルツールを持つことなのだ。

 私のツールを紹介しよう。ジムに行って運動をする。1袋のアーモンドを食べる。立ち上がって外を走ったり、自然の中を散歩したりする。

 結局のところ、ソローの言うとおりだ。「自然には人を惹きつける不思議な力があると信じている。無意識のうちにそれに従えば、我々を正しい方向へと導いてくれる」。また、ヘミングウェイは次のように述べている。「仕事の後や、考え事をするときには、波止場を散歩する。歩いている最中や、何かをしながら、あるいは、人々がやるべきことを心得てやっている姿を見ている時のほうが、考えやすいのだ」

 他にもツールはある。10分間の瞑想。作業場所を変えてみる。特効薬は、危険ではあるが、機内モードを10分間だけオフにし(Eメールとテキストメッセージは見ないままで)、両親や親しい友人に「大好きだよ」とボイスメールを残すことだ。これは毎回うまくいき、素早く仕事に戻れる。なぜなら正直に言えば、誰も電話に出ないからである。

 では、防弾車両が実際に追突された場合はどうするか。たとえば、素晴らしい講演に招待されたり、私よりずっと重要な人物にその日しか会えなかったりしたら? これぞ緊急事態の発生だ。不可侵の日が危機にさらされる。さあ、どうするか。

 私には単純なルールがある。不可侵の日はけっして消さないが、1週間の中ではあちこち動かしてよい。ただし、週をまたいではいけない。不可侵の日は私の用事の中で何よりも重要なので、水曜日から木曜日や金曜日に変更するぶんには問題ない。たとえその時間を空けるために、4件の会議を動かさなければならなくても。

 このやり方の素晴らしいところは、カレンダーに不可侵の日のフラグを立てると、頭の中でもそれがしっかり定着することだ。不可侵の日を入れた瞬間から、高度なアウトプットができたときに得られる、創造的高揚感を感じ始めるのである。

 この方法を始める以前の私は、同じところに何とか踏みとどまっているような状態だった。記事を書き、講演を行うが、何かが欠けていた。2017年に不可侵の日を導入すると、魔法が起こった。新たに5万ワードの回顧録を書き下ろし、60分間の基調講演の原稿を新規に書いて発表し、3冊の新刊の企画書を作成し、新しいポッドキャスト用の企画を仕上げ、収録を始めた――それも、各地を移動して今まで以上に多くの講演をこなしながら。

 1年間経験してみた私は現在でも、不可侵の日を週に1日つくる方法を実践しているのか。

 正直な答えは「ノー」だ。

 いまでは2日入れている。


HBR.ORG原文:Why You Need an Untouchable Day Every Week  March 16, 2018

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ニール・パスリチャ(Neil Pasricha)
心に雨が降った日に開く本』のベストセラー作家。近著The Happiness Equationがある。彼のTEDトークは再生回数250万回を超え、最もインスパイアされるトークとして知られる。スーパーマーケット最大手ウォルマートのリーダーシップ育成に10年を費やし、現在はグローバルハピネス研究所のディレクターとして組織の幸福レベルを高めることを使命としている。