割り当てられるタスクを変えられないなら、逆転の発想でいこう。現実的に考えれば、あなたが苦戦していることを知っている上司は、改善ぶりを確認する前に、素敵なタスクを与えてくれるはずなどない。それならば、目の前にあるタスクについて、自分自身の考え方を変えてみるのだ。

 たとえば、期日内に仕上げられないのは、自分がプロジェクトを完璧なレベルに仕上げたいからだとしよう。この場合、期日内に仕上げるためには「いいかげんな仕事を提出するしかない」と自分に言い聞かせているとしたら、今後も締め切りを守るのに悪戦苦闘するだろう。だが、期日通りに仕上げることも仕事の質の高さを証明することだと認識できれば、期限が迫った時に手放しやすくなるかもしれない。

 あるいは、メール返信が遅れがちだとしよう。自分にとってはメールの内容が重要だと思えないからなのだが、結果的には遅れることで重要なメッセージを見失い、同僚たちには不安をもたらすことになる。とはいえ、歯を食いしばって早く返信することを自分に強要しても、誠実度アップにはつながらない。それよりむしろ、より迅速に返信することが自分の価値観にどう合致するかを考えるべきだ。

 あなたは、コラボレーションや互いに助け合うことが大切だと思っているのではないか。同僚とよい関係を築くことも大事だと思っているはずだ。チームワークも重要だと考えているのではないか。自分の価値観に合致するようにタスクをとらえられるようになれば、そのタスクをやり遂げるのがもっと楽になるはずだ。

 同僚といえば、あなたはどれだけ同僚とつながりがあると感じているだろうか。誠実に行動することに悪戦苦闘する理由の1つは、同僚との間に距離を感じているせいかもしれない。結局のところ、あなたはボールをキャッチするだろうと相手に期待されていたとしても、深いつながりを感じていない相手からのボールはつい落としてしまいがちだ。

 この場合は、職場の内外で同僚との交流を深めることで、誠実さを強化できる。研究によれば、同僚との活動への投資は誠実度アップと関連がある。逆に、社交への投資をやめれば、徐々に誠実度が低下していく一因になりうる。したがって、社員旅行や食事会、飲み会など、同僚とのレクリエーション活動も、あなたが細部にまで気を配る助けとなる。それは、職場への帰属意識と義務感を高める効果があるからだ。

 あるいは、コーチングや臨床的介入によって改善を試みてもよいだろう。わずか4週間のセラピーで、通常は生涯にわたって経験するパーソナリティの、変化の半分を経験することも可能だ。変化は症状経験とは無関係であり、パーソナリティが変わるのは症状軽減だけによるものではないことが明らかになっている。さらに、臨床的介入の効果が、時間の経過とともに薄れていくという証拠もない。

 最後に、重要なポイントがある。誠実になりたいという意欲を示すことは、実際にそうすることと同程度に大切かもしれない。

 組織の観点から言えば、リーダーは部下について、現在の姿勢とパフォーマンスだけでなく、適応力についても評価すべきだ。識別しやすいよう色分けされたスプレッドシートの作成に命を懸けるような、超几帳面なタイプには絶対になれないとしても、そうしようと精いっぱい努力している姿勢を示せば、(たとえわずかでも)改善すれば大いに評価されるだろう。

 パーソナリティの根本的側面について上司に問いただされると、最初は怯え不安を感じるかもしれない。だが、我々の考えでは、健全な組織は、あえてパーソナリティにまで踏み込むべきだ。うまく行えば、多くの人が職場で個人的な成長を遂げることが可能になるからだ。

 パーソナリティがよい方向に形成されるよう促す企業文化では、マネジャーはパーソナリティの変化を促すような役割やタスクに部下を配属する。実行するとなると難しい場合もあるだろうが、来る日も来る日も同じことをするよりも、最終的にはより実りある成果が得られる。


HBR.ORG原文:Becoming More Conscientious, March 30, 2018.

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ステファノ・タッセリー(Stefano Tasselli)
エラスムス大学ロッテルダム経営大学院の助教授。ケンブリッジ大学で博士号を取得。主な研究対象は、組織的ソーシャル・ネットワークのマイクロ・ファウンデーション、および組織論。特に、個々の動作主体の特徴(パーソナリティ、モチベーションおよびコグニション)とネットワーク構造の相互作用を研究の中心に据えて、個人と組織にとって重要な成果を解説。

マーティン・キルダフ(Martin Kilduff)
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)経営大学院の教授。組織行動論を担当。学術誌『アカデミー・オブ・マネジメント・レビュー』の元編集長(2006~2008年)。コーネル大学で博士号を取得。個々人のソーシャル・ネットワークのマイクロ・ファウンデーションと影響を研究の中心に据え、特にそのプロセスにおけるパーソナリティ、コグニションおよびエモーションの役割を重視。

ブレイン・ランディス(Blaine Landis)
ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンの助教授。組織行動論を担当。ケンブリッジ大学で博士号を取得。主な研究対象はパーソナリティ、ソーシャル・ネットワーク、およびソーシャル・パーセプション。