1.自社の内外両方でネットワークをつくる

 あまりに多くのプロフェッショナルが、「結合型」の社会関係資本(bonding capital)を重視しすぎ、「橋渡し型」の社会関係資本(bridging capital)への投資が足りていない(ともにハーバードの社会学者ロバート・パットナムが広めた用語だ)。言い換えると、自分と似たような人々(同じ会社や業界で働いている人など)とは多くの人脈をつくるが、似ていない人々とのつながりがあまりに足りないのだ。

 自分の才能や能力を知ってくれている他者が一部に限られていると、自分の立場を危うくさせることになる。たとえば、重要なプロジェクトのために使えるリソースを増やしたいとき、あるいは昇進して新しい職務に就きたいときなどに、自分の実績を示したり、支援を頼んだりできる相手が少ないからだ。また、所属する部署の再編や会社のレイオフがあると、自分の才能を理解してくれている人たちの立場が変わり、もはや助けを得られなくなる。

 したがって、広範なネットワークを意識的につくるよう心がけよう。そうすれば、状況が変化したり支援が必要になったりした場合の選択肢が広がる。たとえば、趣味を通じて知り合った人、近接する環境の人(近隣在住者、子供の学校の親など)、友人の友人などと、仕事に活かせる関係を持つように心がけるとよい。

 2.自分のストーリーをコントロールする

 私たちは「一生懸命やっていれば、そのうち周りに認められるだろう」とか、「キャリア移行の理由を、周囲の人は説明しなくても正しく察してくれるだろう」などと考えがちだ。しかし、昨今では誰もが多忙すぎて、残念ながらそうはほとんどならないのが実情だ。人々は単に、他者やその職歴に関して、筋の通ったストーリーを思い描くに足るだけの関心を払っていないのである。

 それどころか、間違った思い込みをしてしまう可能性さえある。「あの人は産休を取ったので、スキルがひどく時代遅れになってしまったのだろう」「あの人が間接部門に異動になったのは、やる気がなかったから、あるいはうまくやれなかったのだ」などの邪推である。そんなふうに思われた当人は、成長するチャンスを逃してしまいかねない。

 自分のキャリアについて他の人に理解してもらえるよう、明解で簡潔なストーリーを用意しよう。これまでのスキルがいまの仕事にどう関連し寄与するのかを、説明するのだ。周囲の推測に任せるのではなく、自分のスキルと現職との関連を明確に示す必要がある。

 手始めに、紙の上に図を描いてみよう。片側には、以前の役職や職務経験を書き込む。反対側に、現在進行中の仕事を書き込む。それら2つをつないでいるものは何かを考えよう。

 たとえば、あなたは以前「人事ディレクター」の経験があり、現在は「地域セールス責任者」を務めているとしよう。部外者は、これら2つの職務の関係が理解できず、あなたのキャリアはやや行き当たりばったりではないかと思うかもしれない。

 しかし、人事での経験から学んだことのなかには、共感を持って耳を傾ける方法、人のモチベーションを生み出す源泉への理解、ウィン・ウィンのソリューションを見出す方法、などがある。いずれも、セールスで成功するために重要なスキルであろう。これらを他者に説明すれば、たいていは理解が得られ、あなたならではのスキルが、いまの役割や組織に寄与することを認めてもらえる。

 キャリアに関する簡潔明瞭な説明が有効なのは、新たな職を探しているときだけではない。他者からの認識のあり方をみずから方向づける機会は少なくないのに、ほとんどの人がそれを逃している。

 たとえば新しい知人ができたときは、いつからいまの仕事をしているのか、いまの分野へと至った経緯は何か、などを尋ねられることが多いだろう。そんなとき、次のような簡潔な答えをあらかじめ用意しておけば、さりげなく自分のスキルを伝えることができる。

「最初は人事部で働きはじめて、ディレクターにまでなりました。でも、セールスという仕事のプロセスに興味が出てきまして。人事の仕事で培った聞く力や、人同士を結びつけるスキルを使えば、会社に実質的な価値をもたらせると考えて、去年セールス部門に移ったんです。いまは北東地域のセールス責任者を務めています」。このように役職名だけでなく状況・文脈を盛り込むことで、パーソナル・ブランドをしっかり伝えることができるのだ。

 同じく、勤務評価のときも、これまで身につけてきた自らの主な強みをどう活用しているかを、上司に伝えよう。たとえば、今年クライアントへのアップセルが増えたことと、自分がチームの聞く力の強化を図ったことを関連づけてもよい。それによってチームが、クライアントのニーズによりよく対応できるようになった、と示すのだ。

 3.自分のアイデアを公開する

 自分自身は目立たないようにして、仕事の実績だけで自分のことをわかってもらおう――。

 こうした姿勢を続けていれば、仕事で密接な関係を持つ人々の間だけなら高い評判を得られるだろう。しかし、それではどうしても人数が限られてしまう。他の部門の人や、階層がいくつも上のリーダーたちは、その貢献に気づかない可能性がある。

 また、苦労の末に築き上げた自分の評判資本は、人事異動によって水泡に帰すこともありうる。新しい上司や同僚は自分と経験をともにしたことがないため、あなたの能力について全く見当がつかないかもしれないのだ。

 多くの女性は、自分の実績について語ったり、自分を直接売り込んだりするのは苦手だろう。しかし、自己ブランドの構築においては、自分が得意な分野を伝える方法は他にもいくつかある。

 コンテンツの作成は、自分のアイデアを伝え、よい評判を広く得るための優れたやり方である。具体的な方法は会社の方針によって異なるだろう(たとえば、規制の縛りが厳しい業界では、ソーシャルメディアを利用できる範囲が限られるかもしれない)。だがほとんどの企業では、自分の知識を実際に示し、他者の一助となるための方法がいくつもあるものだ。

 たとえば、調べているテーマについて学び合うためのランチミーティングを主催する、会社のニュースレターに寄稿する、会社のイントラネット上の質問にアドバイスや回答をする、といった方法が考えられる。こうした機会を無視しているプロフェッショナルは少なくない。こんなことに手を出すと「本業」がおろそかになると決めつけたり、誰も興味ないだろうと冷笑していたりするのだ。

 しかし、こうした機会は、たとえ同僚たちには軽視されていても、経営幹部にとってはほとんど常に関心の的である。幹部はこれらの情報チャネルを、知識伝達とベストプラクティス共有のための重要な手段と見なしているからだ。

 たとえば、筆者の大学時代からの友人は、大手小売企業で店員として働いているとき、自社のCEOと個人的にメッセージを交わすようになり、やがて本社に招待された。最初のきっかけは、社内イントラネットへの彼女の投稿だったという。

 コンテンツの作成によって、まったく予期していなかったチャンスが生まれることもある。新しい職もその1つだ。拙著Stand Out(未訳)で紹介したミランダ・アイスリング・ハインズは、創造性に関する本を書いて自費出版し、ある芸術関連の組織で働いている友人に贈った。友人はその本が気に入り、上司に見せた。その後、ハインズがその組織の職に応募したとき、最有力候補とされた。本のおかげで、当該分野に関する信頼性をすでに獲得していたためである。

 パーソナル・ブランディングは、多くのプロフェッショナルにとって不安だらけの課題である。誰しも、ガツガツした自己アピール屋のように思われたくはないだろう。加えて女性の場合は、「好感度問題」があるため、職場で有意義な人脈とよい評判を構築することはさらに難しい。

 しかし、みずからのストーリーをコントロールせず、どんな貢献ができるかを世間に示さなければ、実際に気づいてくれる人はほとんどいないだろう。上記の戦略を実践すれば、自分の真の才能が人々に知られ、認められ、重宝される可能性が大きく高まるのである。


HBR.ORG原文:How Women Can Develop — and Promote — Their Personal Brand, March 02, 2018.

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ドリー・クラーク(Dorie Clark)
マーケティング戦略のコンサルタント、講演家。デューク大学フュークア・スクール・オブ・ビジネスでも教鞭を執る。著書に、Entrepreneurial YouReinventing YouStand Out(いずれも未訳)がある。無料のEntrepreneurial You 自己診断も受けられる。