最初のステップとして、主催者自身の専門知識や議題は脇に置き、その会議によって影響を被る人たちのことを考えてみよう。以下の3つの問いを自問し、彼らに対する共感を働かせてみるのだ。

 1.会議に出席するのは誰か。その人たちのニーズは何か。

 2.会議には出席しないが、会議の影響を被る人は誰か。その人たちのニーズは何か。

 3.自分の仕事は、広い意味でどんな文化や環境に属しているのか。そこでの全体的な課題やチャンスにはどのようなものがあるか。

 会議に出席する予定の人や、会議の影響を被る人を積極的に探し、できればじかに話をするとよい。たとえ会議が定例で参加者が同じでも、こうして個別に少し話を聞くことで、信頼関係が築かれ、隠れていた問題が表面化し、参加者は自分が貢献できていると感じることができる。

 次のステップでは、会議の枠組みを設定する。上記のステップで関係者に注意深く耳を傾け観察した後、主催者は会議の主要な目的を告げ、それが何をもって達成されるのかを明確に示したいはずだ。

 そこで、こう自問してみよう。「この会議が大いに成功するとして、その結果、人々は何を感じ、何を理解し、どう行動するだろうか」。求められるこれらの成功要件を、議題に盛り込むとよい。そうすれば参加者は、自分が出席している理由がわかり、その時間が生産的であったかどうかを評価できるようになる。

 我々の経験では、これらを十分に行っている人は稀である。会議は往々にして、具体的な目標に留意されないまま、予定表に書き込まれている。単にその時間帯を押さえるためだ。結果として、ひとえに会議への義務感が出席理由になっている、という本末転倒が生じがちなのだ。

 短い会議ですら(だからこそ)、明確な目的と、求められる成功要件を明示することが必要である。そうすることで、出席者にやるべきことを続けてもらうことができ、会議の時間は有益だったと感じてもらえる。

 3つ目のステップは、会議を創造的に設計することである。対処すべき主要課題と、その成功要件が明らかになった時点で、議題を作成しよう。議題は会議直前になって寄せ集めで作られることが多い。

 ここで、会議の設計と実行を、カーナビアプリのWaze(ウェイズ)になぞらえてみよう。目的地に最も速く、安全に、効果的に到着するルートはどれかを考えるのだ。先述した1番目のステップ、つまり出席者への共感を働かせることは、「どんな場所に行く必要があるか」(海か、街か、山か)を理解することだ。2番目のステップでは、目的地、つまり具体的な位置と住所を特定する。

 3番目のステップは、ルートである。最速で行く必要があるのか。回り道をする必要があるのか。一番景色のよいルートはどれか。これまでに何度も通っていて、できれば避けたほうがよい道はあるか。道路の穴や渋滞のように、チームにとって用心すべきことは何か。

 この段階では、遊び心を持つことをお勧めしたい。現実を少しの間、脇に置き、当初考えていた定番のやり方を忘れてみよう。

 会議に少し面白味を持たせるとしたら、何を思いつくだろうか。会議の始まりや終わりを、予想外の形にするのはどうか。アイデアを刺激するために、映像、画像、詩、音楽などを使うのはどうだろう。出席者どうしによる共有やつながりの機会を設けるのもよいかもしれない。

 くだらないと思えるかもしれないが、実は、これがきわめて重要なのである。会議は物事を片づけるためだけの場ではなく、チームのポジティブな文化を育む機会でもあるのだ。

 最後のステップは、立てた計画の試験運用である。

 これは、製品の設計者が、初期の試作品をユーザーに提供するのと同じことだ。会議における計画の試験運用とは、議題の草案を事前に参加者と共有することであろう。彼らの反応によって主催者は、共感の深化、新たな問いの形成、より創造的な会議の設計、本番での成功可能性の向上などが図れるだろう。

 このデザインのプロセスをみずからの会議に適用した人たちは、会議の効果のみならず、会議に対する人々の態度にも、劇的な影響があったと我々に語っている。

 これらのステップには、それぞれのメリットがある。

 共感によって、参加者は自分の話を聞いてもらえていると感じる。そして、主催者と参加者の一体感が強まる。枠組みを設定することにより、主催者はそれぞれの会議に明確な目標があることをしっかり意識できる。想像力により、会議の設計に創造性と実験がもたらされる。最後に、計画の試験運用は、計画に対する意見を数人からもらうという単純なことだが、参加者に自分の価値を実感させ、会議での責任感を喚起し、成功への貢献を感じさせることができる。

 これを毎回の会議で実行するのは面倒に思えるかもしれない。だが練習すれば、これらの段階をますます短い時間で回せるようになる。そして、事前のささやかな努力が、長い目で見ると多大な時間の節約になることがわかるはずだ。会議の回数が少なくなり、実施する会議はより生産的で、時には、より楽しいものとなるだろう。


HBR.ORG原文:Plan a Better Meeting with Design Thinking, February 26, 2018.

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マヤ・バーンスタイン(Maya Bernstein)
イノベーション、リーダーシップ、創造性の分野で活動する独立コンサルタント。ジョージタウン大学トランスフォーメーショナル・リーダーシップ研究所の教職員。同校で企業幹部向けのファシリテーション・プログラムの共同ディレクターも務める。
 

レイ・リンゲル(Rae Ringel)
リーダーシップ開発のコンサルティング会社、ザ・リンゲル・グループの社長。同社はファシリテーション、コーチング、トレーニングを専門とする。ジョージタウン大学トランスフォーメーショナル・リーダーシップ研究所の教職員。同校で企業幹部向けファシリテーション・プログラムの共同ディレクターも務める。