●短いコミュニケーションと、わかりやすいコミュニケーションを混同しない

 効率を重視するあまり、語数を少なくして伝えることがある。だが短いだけでは、他のメンバーたちがメッセージを解読するのに時間をかけることになりかねない(しかも、どっちみち誤解される)。

 暗号や省略表現が、他のメンバーに理解されると思い込んではいけない。メディアが何であれ、極めてわかりやすく伝えるために時間をかけよう。わかりやすすぎるということは絶対にありえないが、必要レベルのわかりやすさに達していないケースは頻繁に見られる。

 ●チームメンバーにメッセージを送りすぎない

 あなたはメールと携帯メッセージに加えて、電話でも、1つのタスクをフォローアップしていないだろうか。「さっきのメッセージを受信したか」とチームメンバーに尋ねる傾向があるだろうか。そのようなメディアの乱用は、一種のデジタル支配、執拗で不快なハラスメントになるおそれがある。

 メッセージを送るメディアによって、それに答えるために要する時間は異なる。1つのメッセージを伝えるためにあらゆるメディアを総動員するのは、効果がない(しかも、うっとうしい)。デジタル音量は賢明に選択しよう。

 ●コミュニケーション規範を確立する

 わかりやすいコミュニケーションを実現するために、リモートチームは、新しく規範をつくる必要がある。メルク・アンド・カンパニーをはじめ、複数の企業が、「4HR( Four Hour Response: 4時間以内に対応)」や「NNTR( No Need to Respond:返信不要)」など、デジタル・コミュニケーション用語を作成して、バーチャル会話に予測可能性と確実性をもたらそうとしている。

 リモートチームそれぞれが、独自の規範を確立するといい。たとえば、Slack(スラック)、グーグル・ドキュメント、WhatsApp(ワッツアップ)を利用するかを決めるところから始めるのだ。また、各自の好ましい対応時間、書式、語調など、個人レベルの規範もありうるだろう。短くて迅速なメッセージを好む人もいれば、長くて詳細な対応を好む人もいる。ユーモアや形式張らないことについての好みや許容範囲も、人それぞれだ。

 人間が予測する能力を持っているのはしばしば欠点と見なされるが、特にリモートコラボレーションでは、この予測可能性ほど大切な資質はないと言ってもよい。私たちは一人ひとり、皆ユニークだが、行動様式が一貫していれば、それぞれの行動を他のメンバーが予見しやすくなり、当人を理解する助けになる。

 互いを理解し合えることのメリットは大きい。わかりやすい個々人のエチケットを確立して着実に順守すれば、その過程が一層容易になる。

 ●書き言葉によるコミュニケーションのよさを引き出す

 リモートチームの中には、画面越しのコミュニケーションが、新たなチャンスとなるメンバーもいるかもしれない。面と向かって意見を述べることをためらうメンバーにとって、格好のスペースができるのだ。

 メール中心のコミュニケーションは、対人能力や外見がそれほど重要ではないので、権限と意思決定を共有するのに効果的な方法になりうる。内向的な人は、オフラインの交流に比べて、オンライン時のほうが積極的になるという研究報告もある。

 ただし、バーチャルな無意識のバイアスには気をつけたい。たとえば、句読点や文法、言葉の選択次第で、特定のグループに対する偏見が明らかになるかもしれない。また、リモートコミュニケーションにボディーランゲージがないからといって、意図している以上のことが伝わらないわけでは、必ずしもない。

 デジタル環境でもやはり、言語を超えたメタ・コミュニケーションとバーチャルな情報漏れが発生している。行間を読むことに注意を向けさえすれば、それに気づくだろう。たとえば、特定の誰かの性別や国籍、あるいは宗教に言及した直後に、感嘆符やネガティブな絵文字を使えば、うんざりした表情と同じくらい強い非難の表現になる。

 ●祝うためのスペースを意図的に設ける

 伝統的なバースデーケーキは、リモートチームにとってもやはり大切だ。祝いと社交のためにバーチャルなスペースと行事を設ければ、関係の強化と将来のコラボレーションの基盤づくりができる。心の距離を縮める方法を見つけるのだ。

 我々が協力した1社は、入社から6ヵ月が経った従業員のためにパーソナルな絵文字をつくって、新しい人材の仲間入りを祝っていた。社会的なつながりのためのスペースを設ける方法は、それぞれが独自に見つければよい。方法以上に大事なのは、こうした交流の場を設けることである。

 デジタルによる交流は今後も増え続けるだろう。それにつれ、新しいタイプのミスコミュニケーションと誤解も生まれ続けるであろう。

 そのソリューションは、新しいテクノロジーからは生まれない(ただし、開発者はきっと、コミュニケーションのギャップを埋めようと試み続けるだろう)。むしろソリューションは、リモートチーム内で新しいルールを作ること、そしてデジタル時代にふさわしいコミュニケーション・スキルを磨くことにある。


HBR.ORG原文:How to Collaborate Effectively If Your Team Is Remote, February 27, 2018.

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エリカ・ダワン(Erica Dhawan)
チームやビジネス・ユニット、顧客の枠を超えたコラボレーションを実現させる、グローバルなコンサルティング会社コテンシャルのCEO。また、基調講演者としても活躍。サジュ=ニコル・ジョニとの共著に、Get Big Things Done(未訳)がある。最新のホワイトペーパーはこちら。ツイッター(@edhawan)でも発信している。
 

トマス・チャモロ・プレミュジック(Tomas Chamorro-Premuzic) 
マンパワー・グループのチーフ・タレント・サイエンティスト。ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンとコロンビア大学の経営心理学教授、およびハーバード大学のアントレプレニュアル・ファイナンス・ラボのアソシエイトも兼務する。最近の著書にThe Talent Delusion(未訳) がある。ツイッター(@drtcp)やウェブサイトでも発信している。