小売業の12のトレンド(1)

 アクセンチュアではグローバルの小売業を調査※3し、そのトレンドを12に分けて整理している。ここではそれらのうち、特に破壊的なトレンドとなりつつあり、すべての小売業にとって対応を余儀なくされる7つのトレンドを中心的に紹介する。

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出所:アクセンチュア

1. ユビキタスショッピング

 すでに40%以上の顧客がスマートフォンで買い物を行っており、その比率は年々増加している。小売業にとってモバイル向けのアプリやサイトの構築およびその利便性向上はもはや必須項目となっている。またパーソナルアシスタントによる買い物体験の拡大も大きなトレンドとなっており、音声だけで買い物を済ませるシフトが起こりつつある。AmazonやGoogleだけでなく、Alibaba、Tencent、Baiduといった中国のメガプレーヤーも市場に参入しており、覇権争いの激化が予想される。

 アメリカの買い物代行サービス大手Instacartではオンラインオーダーですぐに商品を届けてくれるが、Samsungのスマート冷蔵庫と連動したオーダーもできるようになっている。またVISA、Pizza Hut、Accentureが提携し、コネクテッドカーの社内から簡単に食べ物を注文できる実証実験も行っている。車が店舗に近づくと従業員に知らせてスムーズな受け渡しを可能にし、車自体がクレジットカード替わりとなって決済も完了する。文字通り、いつでもどこでも買い物ができる状態をつくり出し、顧客に寄り添っていくためのチャネル戦略が求められる。

2. サービスシフト

 小売業としてモノを販売だけでなく、お買い物体験全体としての価値を向上させることで顧客のロイヤルティを高めるようなサービスシフトが起こっている。実際にグローバルの調査によると商品購買では1.3%の消費成長があったのに対し、サービスに対する消費成長は4.4%※4と大きく上回っている。小売業はどのようなサービス提供によって自社のブランドやロイヤルティを高めることができるのか、顧客のニーズの見極めが必要となる。

 具体的なサービスシフトの一つとして、既存の買い物体験におけるアンメットニーズを解消し、利便性を向上させるものがある。Starbucksではアプリから事前にオーダー・決済し、店舗で待つことなく商品をピックアップできるサービスを開始、混雑時に顧客が店頭で待たなければならないストレスを解消している。

 IKEAやLowe’sではAR技術を活用し、家具配置をシミュレーションできるアプリを開発。顧客はカメラを通じて実際の配置をイメージすることができる。また、スマートカートとして、情報提供、バーコードによる決済簡易化するサービスも登場しているが、中国で2018年1月にネット通販大手の京東がオープンしたスーパーマーケット7Freshでは顧客を自動追従するカートを採用している。買い物が終われば自動的にレジの列に並び、顧客がそこで待機する必要はなく、後ほどサービスカウンターで商品を受け取ることができる。

 また、既存の買い物体験の利便性を向上する以外にも、商品の選択自体をお任せするようなサービスも登場している。アメリアのスティッチ・フィクスではAIや専任スタイリストによって顧客に好みに合わせてコーディネートされたアイテムを定期便で届けている。同様に国内でもゾゾタウンが2018年2月より「おまかせ定期便」として好みのニーズで商品を定期的に届け、気に入らない商品は無料で返品できるサービスを開始している。