CEOの報酬は見直しが必要だという意見が広がっているが、その対策は往々にして、報酬の「額」を主眼としている。我々の調査によると、もっと重要なのは報酬の「期間」である。それは、CEOの投資インセンティブに影響を及ぼし、企業の長期的成功と社会への貢献度を大きく左右する。

 たとえば、報酬を半減するほうが、権利確定までの期間を3年から5年に延ばすよりも、ニュースとして話題になるだろう。しかし、後者のほうが重要である可能性は高い。実際、英国政府が発表したコーポレート・ガバナンス改革に関する方針書では、こうした期間の延長を提案している。また、ノルウェーの政府系投資ファンドは、企業の報酬原則に関する提案書の中で、CEOによる株の長期保有を義務づけることを提唱している。

 CEOの報酬額を下げる狙いは、その分を他のステークホルダーに再分配するためである。しかし、CEO報酬の割合は全体で見るとそもそも少ないため――米大手企業では企業価値のわずか0.05%にすぎない――影響は微々たるものである。

 報酬の期間を長く設定すれば、CEOにとっては、企業の長期的成功のために投資する動機が高まり、その利益が株主と社会の両方に広がるだろう。


HBR.ORG原文:Equity Is About to Vest, They Cut Investment to Boost the Stock Price  February 28, 2018

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アレックス・エドマンズ(Alex Edmans)
ロンドン・ビジネススクールのファイナンス教授。コーポレートファイナンス、行動ファイナンス、企業の社会的責任(CSR)を専門とする。