マインドフルネスのエクササイズを実践する

『ネイチャー・ニューロサイエンス』誌に掲載された研究成果によると、毎日短時間のマインドフルネス・エクササイズを実践すれば、脳の構造と機能が変化して、自己認識が強化される。我々がシリコンバレー発の某グローバルIT企業と協力した際には、 マインドフルネスのトレーニングを毎日10分5週間続けるだけで、これに参加したリーダーたちの自己認識が最大35%強化された。

 マインドフルネス・トレーニングを実践すれば、自分の心の中で刻一刻と起きていることが、より広く認識できるようになる。そのことが自分の感情に気づいて安定させる助けになり、また部下たちの態度、反応、感情をよりよく理解する助けにもなる。その結果、よりよい関係が生まれ、より多くの効果につながる(マインドフルネス・エクササイズに興味がある場合は、こちらで詳細なガイドラインをダウンロードできる)。

 定期的に休憩を取る

 プレッシャーの下では、人はいつもしていることをするようになる。習慣的な思考と行動に頼るからだ。そこには自分認識の入り込む余地はなく、自分自身や部下を理解しようという余裕もほとんどない。たとえわずか1分間でも、短い休憩を定期的に取れば、習慣的な思考法と行動から抜け出せる。それによって自己認識が研ぎ澄まされ、物事をより明確にとらえる余裕が生まれる。

 自己認識を高めるための休憩では、何もしないのが大事だ。ニュースは見ない。スマートフォンも見ない。SNSもチェックしない。どれも心のスペースを占めてしまい、自己認識が覚醒する余裕を与えない。むしろ、すべきなのは、スマホを置き、コンピューターから離れ、ただ窓の外を眺めるか、目を閉じるか、あるいは廊下を歩いて戻ってくることだ。

 他人の言葉にきちんと耳を傾ける

 忙しいときは、脳が定石通りにパターン認識をするようになる。単純さを欲するのだ。

 そんなときに他の人から話しかけられると、脳は自動的に以前聞いたことがある情報を探し出し、新しい情報を排除する。かくして、ヴィンセントの場合のように、他の人の心配事や意見を聞こうとせず、企業文化の現状に注意の目を向けようともしなくなる。

 そうなると、自分だけのリーダーシップの枠内で孤立するリスクを冒すことになる。そんな状態にある脳が本気で耳を傾ける対象は唯一、内なる自分の声だけだ。

 脳のパターン認識を回避するために、他の人と一緒にいるときには、耳をよくすまして、口を閉じ、相手の話を聞くよう努力すべきだ。また、聞くものすべてに心の中でコメントしたがるあなた自身の内なる声を、無視する必要もある。

 心を開こう。興味を持とう。そして、自分の思い込みに疑問を持とう。


HBR.ORG原文: Self-Awareness Can Help Leaders More Than an MBA Can, January 12, 2018.

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ラスムス・フーガード(Rasmus Hougaard)
グローバルなリーダーシップと組織の発展を支援する企業、ポテンシャル・プロジェクトの創設者兼マネージングディレクター。クライアントには、マイクロソフト、アクセンチュア、シスコほか、数百の組織がある。最近、2作目の著書The Mind of the Leader(未訳)を出版した。

ジャクリーン・カーター(Jacqueline Carter)
ポテンシャル・プロジェクトのパートナー兼北米ディレクター。ラスムス・フーガードとの共著に、One Second AheadThe Mind of the Leader(以上、未訳)がある。

 

マリッサ・アフトン(Marissa Afton)
組織心理学者。ポテンシャル・プロジェクトの米国ディレクターも務める。首脳陣のパフォーマンス向上、および企業文化の変革イニシアティブの促進を専門にしている。