「管理者と非管理者」から「投資家と創業者」へ

 Buurtzorgのようなリーダーシップが分散された組織において統制を取ることは簡単ではないと思うかもしれない。中国家電メーカーHaier(ハイアール)では、社内にインベスター視点のリーダーシップを取り入れることでこれを解消している。Haierでは、アントレプレナーシップを持つ社員による「ミクロ企業」という、社外人材の登用も認められている社内企業の立ち上げを推奨している。ミクロ企業は自らの損益責任を持ち、本社経営層は投資判断を下す。

 このように「管理者と非管理者」から「投資家と創業者」の関係へと変わることで、各チームの自律性を認めながら組織の秩序を保つことを可能としているのである。2012年から2017年までに200のミクロ企業が誕生し、100以上のミクロ企業で売上げ1億人民元(約17億円)に達し、50以上のミクロ企業が投資を受けている。

 そのほかの自律型チームを抱えている企業に目を向けても、7つのリーダーシップのいくつかを複数の個人が有機的、ダイナミックに発揮しているものと見受けられる(図4)。

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出所:アクセンチュア

  繰り返しになるが、これら7つのリーダーシップはCEOや経営層といった特定のリーダーに閉じた議論ではない。他者を率いるために必要となるものではなく、チームとしてのパフォーマンスを最大限発揮するためにデジタル時代に働く一人ひとりが果たすべき役割である。

 この役割は固定的ではなくシチュエーションに応じて変化し、1つを発揮する場合もあれば複数を発揮する必要がある場合もある。自分の価値観・経験・スキル・行動様式を振り返り、自分がすでに発揮している、あるいはこれから発揮していきたいリーダーシップを認識することがスタートポイントとなるであろうが、より重要なことはチーム全体を常に見渡して、いま、チームとして欠けている特性が何であるかを理解し、とっさにその役割を担おうとする思考・行動様式を全員が共有することにあるだろう。