効率性と柔軟性に優れる自律型企業の出現

 デジタル時代のゲームのルールを前提にすれば、従来のヒエラルキー型の組織によるトップダウンでの意思決定は判断を下すまでに時間がかかり、かつ、過去に一度決定したことは容易に変更されないことが多く、変化のスピードについていけないのは自明である。そうした欠点を克服すべく、組織全体に権限を分散させ、より効率的かつ柔軟に意思決定を行う「ホラクラシー型」と呼ばれる企業が出現してきているのはむしろ、自然の流れと言えるだろう。

 ホラクラシーはZapposやAirbnbといった企業で導入されており、その組織構造は従来のヒエラルキー型組織のような役職で規定された階層構造ではないフラットなものである。そこでは組織の達成したい目的ごとにチームを組成したうえで、目的を実現するための役割を各チームで定め、その役割が担うべき領域と責務を明確に規定している。ヒエラルキー型組織では権限が上位の役職者に集約されている一方、ホラクラシー型組織では人ではなくそれぞれの役割ごとに権限が付随していることが大きな違いである。

 役割への権限付与は、意思決定のプロセスやガバナンスモデルにも組み込まれている。ホラクラシーでは、各役割を担う実行者が目的を達成するために必要な意思決定を行うことが認められ、さらに組織構造をよりよい形に組み替えることや役割を入れ替えることも自ら決定できる。

 たとえばZapposでは、働く上で不具合を感じた場合、主体的に「ガバナンスミーティング」を開催し、それぞれの役割の再定義を行うことが認められている。それにより会社内に存在するチームや役割は生き物のように常に更新され続けるが、これらの情報はイントラネットでリアルタイムに管理され、だれもが最新の組織情報や役割にアクセスできる。

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出所:アクセンチュア

 ホラクラシーでは役割を担う一人ひとりがその領域におけるリーダーかつ実行者である。そこでは強い目的意識のもと目的達成に向け自らの役割をまっとうするために、タイムリーな意思決定を行うことができ、社内調整に費やすエネルギーも低減する。その結果、社員のエンゲージメントを向上させることができる。世のなかの変化に対してより高速かつ柔軟に対応できる形態として、一人ひとりがリーダーでもあり実行者でもあるホラクラシーのような自律型組織が必要になってきている。以下にホラクラシー型の組織が有するいくつかの特徴を整理したい。