いつもと違う休暇を過ごす第3のメリットは、クリエイティビティの向上にある。

 オランダ人の働き手46人を対象とした研究結果によれば、2~3週間の休暇を外国で過ごした後には、れんがやタイヤ、スプーンに鉛筆といった日用品を通常と異なる方法で使うという課題に対して、被験者たちはより多く、より多様なアイデアを生み出すことができた。同様に、シンガポールの研究者グループは、旅行をはじめ、国境を越えた友情や外国語学習、外国の音楽や食べ物の摂取を通じて多くの文化に触れるほど、慣例にとらわれない問題解決に結びつくことを明らかにした。

 最近の旅行での経験を踏まえて、私は以前とは異なる方法で自分の研究所ウェルビーイング・ラボラトリーの人材採用に取り組み始めた。

 職務遂行能力を見抜く唯一にして最良の質問は「当研究所について、どれくらいご存じですか」であり、それはいまも使う。加えて、もっと変わった質問もするようになった。たとえば、こんな質問だ。「あなたが人生のある瞬間を再び経験できるとしたら、それはどの瞬間で、なぜですか」。「あなたの子ども時代について、尋ねてほしいのに決して尋ねてもらえないエピソードは何ですか」。「あなたが抱いているちょっと変わった信念とは何ですか」

 続いて、そうした経験が考え方と行動に影響を与えたかどうか、与えた場合はどのようなものかを尋ねる。興味本位ではない。志望者の文化的経験に深く切り込み、当ラボラトリーの集団的クリエイティビティを向上させ、新しい価値を提供する強みを持っているかを判断したいのだ。

 この話題を通して、少なくとも有意義な交流が生まれる。うまくすれば、私たちをより強力かつより賢明なチームにするメンバーを迎えられる。

 今回の投稿は、私が幸運にも体験することができた冒険旅行に着想を得ている。だが、もっと近場の旅行でも、同じように成長を遂げられるはずだ。

 初めて訪ねる州や町、あるいは家庭でもいい。都市から田舎へ、北から南へ、東から西へ旅するだけでかまわないのだ。不慣れな環境で、背景や信念が完全には一致しない人々と一緒に時間を過ごすことができれば、自分の器を広げることに成功しつつある。

 ビジネス旅行も個人旅行も、快適さの最大化と不確実性の最小化を目指す企画が、あまりにも多い(テーマパークやクルーズ船はその筆頭だろう)。

 だが、休暇は自己啓発の絶好の機会だ。職場がいま必要としているのは、居心地のよくない状態が苦にならず、他者の視点を理解し、既知のことを繰り返す代わりに、そこから新しいことを生み出せる機動力のある人材である。

 オフィスを離れたからといって、向上心まで休ませる必要はない。


HBR.ORG原文: The Mental Benefits of Vacationing Somewhere New, January 26, 2018.

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トッド B. カシュダン(Todd B. Kashdan)
ジョージ・メイソン大学センター・フォー・ジ・アドバンスメント・オブ・ウェルビーイングの心理学教授、シニア・サイエンティスト。ロバート・ビスワス=ディーナーとの共著に、『ネガティブな感情が成功を呼ぶ』がある。