第1のメリットは、エモーショナル・アジリティの向上だ。

 わき起こる感情にすぐには反応せず、むしろそれを観察し、注意深く情報を収集して、考えられる原因を理解してから、その感情をいかに扱うかを意識的に決定する能力が磨かれるのである。

 485人の成人を対象として米国で実施された研究結果によれば、外国旅行の経験は注意力とエネルギーをコントロールする力と結びついていた。この力は、多様な状況で効果的に機能し、感情を言語と非言語の両方で適切に表現する助けになる。より多くの国を訪問するほど(幅)、あるいは現地の文化により浸るほど(深さ)、これらの効果は増し、しかも、帰国後も効果は続いた。見知らぬ町や市、国で過ごすことで寛容になり、自身の不快感を受け入れられるようになる。あいまいな状況の中でも先に進めるという自信も深まる。

 スリランカでの2週間、私は自分が成長していくのを実感した。

 極彩色のサリーを身にまとい、シンハラ語を話している年配の背の低い男たちの真ん中に立ち、私はこれほど自分が外国人だと感じたことはかつてなかった。レンタカーを借りても、トゥクトゥク(三輪自動車タクシー)や自転車や歩行者であふれかえった狭い道路を進むことなどできそうになかった。値段の表示が一切ないなかで、交通機関を利用して移動したり、食べ物や衣類や美術品を購入したりするのは実に勇気のいることだった。

 だが、やがて肝が据わってきた。数日後には、大胆にもシンハラ語のみのヨガ教室に参加していた。いまになればわかることだが、最初の不安はいわゆる反動で、実際に活動し始めれば解消するものなのだ。