自社のアイデンティティを再定義する

 多様なステークホルダーを含めたエコシステムの構築は、今後さらに広がっていくことが予測される。パートナー企業の増大に伴い、価値の生産に際した社内外の線引きは今後ますます曖昧になっていくであろう。

 ワークフォースについてもその流れは同様である。ネットワーク化の進展も背景としつつ、専門人材を皮切りに、今後ますます流動化が進んでいくことが予測される。すでに現時点でもFortune500の28%(140社)がクラウドソーシングサービスUpworkを活用し、社外の人材との協働を進めている。*7

 内外が融合したエコシステムが広がるなかで、企業はいまこそ自社のアイデンティティを再定義する必要性に直面している。顧客にとって自社は何の価値を提供する存在であるのか? アイデンティティの再定義に向けては、顧客に対して実現するCXがそのカギとなる。CXを中心に自社の存在を改めて見直すと、捉えるべき競合の姿も変わってくるかもしれない。

 現代のB2B企業は、CXを土台にビジネスを再構築すべき局面に差し掛かっている。言い換えれば、優れたCXの実現の道筋を描くことこそが今後のB2Bビジネスにおける戦略となるのである。

出所
*2:Accenture customer experience and Accenture Strategy 2016 CSO Insights Channel Performance Study
*3:World Economic Forum, 2016
*5:Accenture Technology Vision 2018: https://www.accenture.com/us-en/insight-technology-trends-2018
 
野田 祥(のだ・しょう)
アクセンチュア 戦略コンサルティング本部
顧客戦略グループ マネジャー
慶應義塾大学商学部卒。2010年アクセンチュア入社。マーケティング領域が専門分野。ハイテク、通信、消費財、製薬など幅広な業界で、マーケティング戦略策定、次世代マーケティングモデル構想・導入を支援。デジタルを梃子にした事業戦略・新規事業構想の支援にも多数従事。