●好かれたいという気持ちを捨てる

 たいていの人は、周囲の人に好かれたいと思っている。当然のことだ。エグゼクティブ・コーチであり、Difficult Conversations(未訳)の著者でもあるジョエル・ガーフィンクルは最近、「好かれたいと思うのは自然なことだが、それは必ずしも最も重要なことではない」と書いていた。そして、「好感度」を上げようとするのではなく「敬意」に注目するとよいという。相手に敬意を払い、自分自身も敬意を得るのだ。「難題を話し合うときでも、互いにとって有益な会話にすることは可能だ。それには、相手の観点に敬意を払い、相手が自分の観点に敬意を払ってくれると期待することだ」と彼は言う。

 あなたが会話を不快に思わず、好感度より敬意が大切なのだという態度を模範として示せば、それはチームに対して、意見の不一致があってもよいのだというしるしになり、部下も安心して自分の考えを述べるようになるだろう(もっとも研究が示すように、特に女性はこのアドバイスを実践するのに苦労する傾向がある)。

 ●全体像を見る

 意見の不一致を人格への攻撃と思ってしまうと話が面倒になるが、仕事上の衝突は通常、目的やプロセスの違いとして始まる

 リーダーシップ育成企業パラヴィス・パートナーズのマネジング・ディレクターであり、Own the Room(未訳)の共著者でもあるエイミー・ジェン・スは、意見の不一致が人間関係にダメージを与える可能性ではなく、ビジネス上のニーズに注目すべきだと言う。

 あなたの異論のどこに、議論すべき重要性があるのか。それは組織やチーム、あるいはあなた自身が取り組むプロジェクトにどう役立つのか。嫌われたくないというのは、あなた個人の問題だ。自社やチームにとって何がベストか、と考えるのはちっとも利己的なことではない。

 ●不一致を冷たさだと思わない

 衝突を恐れる人に、なぜ違う意見を言うのがこわいのかと尋ねると、最も多い返答は「相手の感情を害したくないから」と「イヤな奴だと思われたくないから」である。

 たしかに、異論をまるで歓迎しない人もいる(自信の欠落したマネジャーなどがそうだ)が、あなたが思慮深く、敬意をもって発言すれば、ほとんどの人は違う意見にも耳を傾けてくれるものだ。

 そこで、こう自問してみよう。あなたが同僚の感情を害するリスク、あるいはイヤな奴と思われるリスクは、本当にあるのか。それとも、自分の不安を投影しているだけなのか。

 ●ロールモデルを見つけて、その真似をする

 おそらくあなたの周囲には、同僚か親族かあるいは友人の中に、人の気持ちを害さずに、自分の考えや意見を率直に言うのが上手な人がいるだろう。その人を、よく観察しよう。その言動を見て、真似をしてみるのだ。

 私のある同僚は最近、緊迫した状況になったら、不安に対処するのがうまい俳優のふりをすると言っていた。すると、その場の生々しい感情に流されることなく、一歩離れて自分の行動を観察できるのだそうだ。これは、ロンドン・ビジネススクールのハーミニア・イバーラが勧める、「できるようになるまでは人真似をせよ」と同じアプローチである。緊張した会話が苦手なら、得意な人の真似をしてみればいい。

 どの方法を試すにせよ、まずは少しずつ練習することだ。それほど重要でない会話で本音を言ってみて、どうなるか見てみよう。あなたの予想より、うまくいく可能性が高い。そして、うまくいかなければ、その場面から学び、また試してみるとよい。

 私がマルグリットへのメールの誤送信で偶然学んだように、ときには異論を述べることこそ、相手の期待している行動なのである。あなたはそれを、敬意と共感をもって行えばよい。


HBR.ORG原文: Why We Should Be Disagreeing More at Work, January 03, 2018.

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エイミー・ギャロ(Amy Gallo)
ハーバード・ビジネス・レビューの寄稿編集者。HBR Guide to Dealing with Conflict at Work(未訳)の著者。職場環境の力学について執筆し、講演する。ツイッター@amyegalloでも発信している。