新しい“インターナルブランディング”
というソリューション

博報堂コンサルティング
アソシエイト 鵜川将成

一橋大学商学部卒。広告代理店のコピーライターを経て現職。

 日立の取り組みはインターナルブランディングの思想に基づいていると言える。インターナルブランディング自体は決して新しい考え方ではなく、80~90年代のCIブームの頃に注目を浴びたテーマだが、先述したような潮流の中で改めて注目が集まっている。

 インターナルブランディングが求められる状況は大きく2つに分けられると鵜川将成氏は言う。企業が持っていた「らしさ」を失って組織がばらばらになっている状況と、逆に「らしさ」に固執しすぎてしまい事業との齟齬が生じている状況だ。典型的なケースとしては、組織が革新的な発想を求められているのにもかかわらず、旧来的な安定したオペレーション重視型に留まっているという場合があり、ビジネスモデルの急速な変化に組織風土の適応が追い付いていない状況だと言える。

企業を動かすため
3つの高い壁を克服する

 インターナルブランディング活動では「現状分析→課題導出→ビジョン設計→浸透施策展開」というプロセスをとるが、効果的な実施には3つの高い壁を克服する必要がある。

 それは、①ビジョンワードに対する理解と納得の壁、②従業員一人一人の行動変容の壁、③変革推進の中核を担うミドルマネジメントの壁である。ビジョンワードは従業員が目指す旗印となるため、多くの言葉を並べ立てるのではなく一言に凝縮されたクリエイティブワードが必要だと鵜川氏は言う。旗印となる言葉はwhat、why、so whatの3つの視点から考える必要がある。whatは理解のしやすさであり、抽象的でメッセージが伝わらない表現は避けるべきである。whyは納得のしやすさであり、事業戦略の勝ち筋から導出された共感できる言葉である必要がある。so whatは行動への落とし込みやすさであり、業務上遭遇する様々な場面において判断基準として機能し、取るべき行動が示唆されるような言葉であることが望ましい。

 2つ目の行動変容の壁は、言葉だけではなくロールモデルを用意することが解決への方策となる。組織が複雑化し、人材の流動性が高まっていく中で、若手社員は「尊敬できる先輩社員」を見つけにくくなっているという現状がある。そこで企業の目指す方向性を体現した「ロールモデル社員」を称賛する「スターシステム」を作ることで、行動変容のお手本を示すことができる。さらにロールモデル社員の特徴を抽出し、「我が社の従業員たるもの斯くあるべし」という要素を「たるもの像」として明文化することで、インターナルブランディングに留まらず採用活動にも好影響をもたらすことができる。

 最後に最も問題となるのがミドルマネジメントの壁である。

 ミドルマネジメントは経営層が発信するメッセージを各部門に応じて咀嚼し、現場の社員が具体的に何をすべきかを示す必要がある。だが、今はミドルマネジメント受難の時代と言える。部下の労働時間を減らしつつ、メンタルにも気を使いながら、旧来の自分の成功体験が役に立たないような未曾有の大改革を担わなくてはならない。

 昨今のインターナルブランディングを実行する上で重要なポイントは、このミドルマネジメントの負担を減らすことだ。そこで完全なトップダウンではなく、部署と階層を横断したタテ・ヨコ・ナナメが相互に影響を与え合えるような、さらには社外の人間までもが参加してくるような、本業とは別ラインの言うなれば「アソビ場」を作ることが有効だ。

 この3つの視点で先述の日立製作所の事例を見ると、①「一人称のマインドセット」という旗印をつくり、③「Make a Difference!」という本業とは別の場を用意し、②その受賞者が変革のロールモデルとなる仕組みをとっているのである。

 これはあくまで一例であり、どの企業でも同じ取り組みをすればよいというものではないが、全社参加型で新たな価値を共創していく「ファクト創造型」のインターナルブランディングが今後主流となっていくと同社は考えている。そのプロセスでは、複雑に絡み合った課題をロジカルに整理する左脳的思考と、社員が楽しいと思えるようなクリエイティブな施策を展開する右脳的思考が必要とされる。博報堂コンサルティングが創業以来培ってきた知見が、組織風土改革実現への一助となるのではないか。

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