ケース(1):他者を称賛することで、企業文化の変化を後押しする

 サリー・スロックは、職場で正当に評価されていないと感じたことを鮮明に覚えている。

 当時、彼女はフランシス・フォード・コップラ・ワイナリーのホスピタリティ部門長だった。上司が退職したため、サリーと彼女のチームは新たな上級管理職の下に配置された。また、会社は本店を閉鎖して拠点を統合したばかりだった。

「結果として、多くの社員が在宅勤務をしていました。そのため、企業文化が分断されたように感じ始めました」と、彼女は当時を振り返る。

 サリーは上司に好感を抱いていた。「強くて思いやりのある」リーダーとして尊敬もしていた。正当に評価されていないと感じるのは「個人的にではない」、つまり、標的にされてのことではないことも理解していた。「むしろ、会社が変革の最中にあることを反映するものでした。職務上、上司は単に他の部門を優先する必要があったのです」

 とはいえ、サリーは士気が下がるのを感じた。何とかしなくてはならないとも自覚していた。「私自身がリーダーでもあり、チームの役に立つことが私の責任でもあると、自分に言い聞かせました」と、彼女は語る。「私が正当に評価されていないと感じていたら、きっと他のメンバーたちも同じはずです」 

 彼女は企業文化の変化を後押しできることに気づいた。チームに貢献したメンバーにはそれまで以上に目を配り、チームメンバーが期待を超える成果を上げたときは、皆の前で感謝の言葉を口にした。「朝のグループ・ミーティングで感謝の気持ちについて話しました。すると、ホスピタリティ部門のチーム内で効果がありました」 

 だが、ホスピタリティ部門以外では、何も変わらなかった。他の部門にいる同僚たちは正当に評価されず、ないがしろにされていると感じていたのだ。「ジレンマは全部門に浸透していることに気づきました。そこで、どうすれば職場で互いに感謝を伝えられるようになるだろうかと考えました」 

 サリーは上司と話し、一緒にブレインストーミングを行い、アイデアを出し合った。その結果、「グラッチェ」カードが誕生した。感謝を表す方法として、従業員が互いに贈り合えるカードだ。「カードを贈ったり、受けたりすることに、みんながワクワクしました」とサリーは語る。「自分のことだけを考えるのをやめて、企業文化の変化に努力を傾けたら、感謝の気持ちを伝え合えるようになりました」

 現在、サリーはインナー・コンパス・コンサルティングのプリンシパルであり、いい仕事をした人に感謝する重要性を強調し続けている。

 ケース(2):自分の(そして他者の)貢献を紹介することで、自分の認知度を上げる独創的方法を見つける

 アナ・ブロックウェイは、サンフランシスコにある巨大広告代理店のジュニア・アカウント・エグゼクティブとしてキャリアをスタートした。

 彼女は自分の仕事と、主要クライアントであるリーバイ・ストラウスが大好きで、一生懸命に働いた。とはいえ、同輩の間で傑出するのは難しく、自分の努力が気づかれていないと感じることがよくあった。「残業をして、クライアントのために新しいプログラムやアイデアを開発していましたが、すでに進行中のより大きなプロジェクトの中で忘れ去られていました」と彼女は当時を振り返る。「もっと評価してもらえるように、どうすれば私の仕事をもっと目立たせられるか悩んでいました」

 熟慮の末、アンナは、多くの若い女性は正当に評価されることを求めるよりも、むしろ待つ傾向があることに気づいた。「暗黙のうちに、時には明らかに、私たち女性は慎み深くあるよう教育されます」と彼女は語る。「自分の仕事を知ってもらうのは社内PRキャンペーンを行うようなものです。自己満足はいけませんが、人目につかないのもごめんです」

 ある日、アンナは、同僚が新しいアイデアについてクライアントにプレゼンするのを見て、透明性がカギであることに気づいた。「クライアントが無視していたわけではありませんでした。ただ、私が何をしているかを知らなかっただけだったんです!」

 アンナは、わかりやすい15分の説明資料を作成した。店舗の最前列に最新製品を展示して目に入りやすいように、彼女がこれまで考案してきたさまざまな業績の全容をまとめたのだ。この資料には、自分のやったことだけではなく、リーバイ・ストラウスのデザイナーたちの最新の取り組みも強調した。同社デザイナーたちも、自分たちが考案した新たな仕上げとフィット感に「どうしたら気づいてもらえるか悩んでいたところ」だったのだ。

 プレゼンの中で言及され、彼自身の業績について感謝されて、「ヘッドマーチャントがどんなに光栄に思ったかを話してくれたことを、今でも覚えています」

 2年後、リーバイ・ストラウスはアンナを迎え入れた。彼女はその後、同社のワールドワイド・マーケティング・グループのヘッドになった。

 現在、彼女はビンテージ装飾品、家具、アートのオンライン・マーケットプレース、チャアリッシュ(Chairish)の最高マーケティング責任者(CMO)だ。

 毎週月曜日の午後2時、彼女はチームメンバーに個人的な「古き良きスタイルの」礼状を書く。「正当に評価されることで、大切にされていると最も実感するのだと思います」と彼女は言う。「お金や昇進、昇給は本当に素晴らしいものですが、最も有意義なのはひとりひとりの真価の確認です」


HBR.ORG原文 What to Do When You Don’t Feel Valued at Work, December 26, 2017.

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レベッカ・ナイト(Rebecca Knight)
ボストンを拠点とするジャーナリストで、ウェズリアン大学講師。ニューヨーク・タイムズ紙やUSAトゥデイ紙、フィナンシャル・タイムズ紙にも記事を寄稿している。