──良いコストと悪いコストを区分し、コスト構造を改革する過程においては、組織内で不信感や不安感を高めてしまうこともあります。

 確かに、やり方を間違えるとコスト削減が信頼性に悪影響を与え、組織を弱体化させてしまうことがあります。

 それは、経営陣がなぜコスト構造を変える必要があるのか、どのようにコスト削減を進めるのかを、従業員に対して明確に説明していないことに原因があると考えられます。

 ですから、一番重要なのは透明性です。コスト構造の最適化を進めるうえでは、経営陣と従業員との密接なコミュニケーションが欠かせません。

 多くの会社では、従業員は会社や顧客に対するロイヤルティを十分に持っています。会社には良い業績を出してほしいし、同僚には良い結果を出してほしい。ですから、経営陣は従業員に「成長のための最適化」が、会社をより良いポジションに位置づけるために必要なプロセスであることを明確にし、具体的にどのようなアクションを取るのかを丁寧に説明する必要があります。

 会社を強くし、顧客により良いサービスを提供するための活動であることを理解できれば、従業員は変革をより積極的にサポートしてくれるようになります。

 組織内での信頼性を損ねないで、コスト構造改革を実現するためには3つの段階を経て進めるべきだと私たちは提唱しています。最初のフェーズでは、自社を差別化するケイパビリティを特定し、目標とするビジョンとオペレーティングモデルを作成するなど、戦略の方向付けや優先順位を明確にします。

 2つめのフェーズでは、方向付けられた戦略を、目標とするプロセス、組織、システムの詳細な設計に落とし込みます。目標とする姿へと変化するための新しいプロセスや組織などを設計するのです。

 そして、3つめのステージでは、組織を巻き込んで計画を実行します。実行しながら、調整を加え、コスト削減のための新たな機会を分析することを続けていくことで、企業は変革そのものが常態化した「新たな常識」(ニューノーマル)のステージに移行することができます。