最も有意義な事業目標を定めるには、次のように問いかけてみよう。

 達成すべき数字は?成功を判断する尺度は?上司は成功をどう判断するのか?最近変化したもの、その変化が自分にとって課題となっているものは何か?ステークホルダーの最大の関心事は?

 事業目標には、実にさまざまなものがある。売上げの向上から、見込み客の獲得、顧客満足度の向上、ブランド認知度の向上、寄付金集め、ボランティア集めに至るまで、多岐にわたる。したがって目標は、「フェイスブックに最低週5回投稿し、半年以内にファンの数を増やしてエンゲージメントを高める」といった、ソーシャルメディア主体のものになってはならない。これは手段であって、明確な目標ではないのだ。

 優れた目標とは、「半年以内に18~24歳の購買層におけるブランド認知度を20%高める」といったものだ。ソーシャルツールを提供するHootsuite(フートスイート)は、連動させるべき真の事業目標の例として、コンバージョン、ブランド認知、顧客体験を挙げている。

 プラットフォームを検討する際には、活用すべきものとすべきでないものを慎重に考えよう。忘れてはならないのは、単に現行のプラットフォームでの活動を増やすだけでは、事業目標の達成に近づくわけではないということだ。投資対効果を向上させるには、事業目標に合致していないソーシャルメディアのアカウントを閉じたり、投稿を減らしてもっと実のある内容に絞ったりする必要もあるかもしれない。

 たとえば、ソーシャルメディアサービスのBuffer(バッファ)は、フェイスブックの投稿数を増やすのではなく減らすことで、優れた成果を上げることができた。

 事業目標を定め、ふさわしいプラットフォームを選んだら、利用者にとって価値のあるコンテンツをつくらなければならない。利用者が直面している問題を解決し、タイムリーなメッセージを配信する。あるいは、ただ彼らを笑顔にさせる何かだ。

 あからさまなセールスメッセージよりも、感情を動かすストーリーのほうがうまくいくことが多い。広告記事にはリーチを稼ぐ以上の効果はない。閲覧だけでなく行動を起こさせるには、コンテンツ自体が十分に魅力的でなければならないのだ。価値の高いコンテンツはシェアされることが多く、リーチをいっそう広げてくれる。

 また、自社のすべてのソーシャルメディア・アカウントに同じコンテンツを投稿してはならない。チャネルごとに内容をカスタマイズし、投稿スケジュールも調整すれば、よりよい結果を得ることができる。

 とはいえ、コンテンツだけでは一定の効果しか得られない。ソーシャルメディアの投資対効果の大部分は、顧客に対応することで高まる。ソーシャルメディアサービスのスプラウト・ソーシャルによると、企業は要返信のソーシャルメッセージ10件のうち1件しか返信していないことがわかった。

 これは大きな機会損失である。たとえ否定的なコメントに対してでも有益な返信をすれば、ブランドイメージの向上、新規顧客へのリーチ、顧客の再購入率の増加につながるからだ。業種によっては、顧客サービス部門を巻き込む必要があるだろう。ソーシャルは双方向メディアであることを忘れてはならない。

 次に、ソーシャルメディアへの取り組みを管理するのにふさわしいツールを整えよう。企業が成果を測定するには、モニタリング、作成・投稿、適切な分析データの追跡ができるツールが必要だ。また、ソーシャルメディアは企業戦略のさまざまな領域で重要度を増しているため、部門間で統合しなくてはならない。効率化のためには、諸部門のソーシャルチームの協働を可能にするツールが必要かもしれない。

 グーグル・アナリティクスのようなツールは検討に値する。ウェブサイトでのコンバージョン、直販、メール購読、イベント登録、見積り依頼など、ソーシャル上のトラフィックを分析してどの施策が有効なのかを知ることができる。コンバージョン単価の目標値を設定すれば、フォロワー数や「いいね!」の件数以外のどこに時間と資金を投じるべきかが判断しやすくなり、ソーシャルメディアと収益の関連性を明らかにできる。

 モニタリングのツールは、センチメントなどの分析データを追跡することもできる。ソーシャルメディア上のネガティブなコメントにより、売上げの減少や株価の下落といった危機的状況を味わった企業があまりにも多い。ソーシャルメディアの分析ソフトウェアには無数の選択肢がある。どれが自社に適したものか、時間をかけて調べてみるとよい。

 適切なツールが整ったら、ソーシャルメディアへの投資利益を表す指標を特定して追跡しよう。ソーシャルの活動を事業目標と関連づける、という作業に前もって懸命に取り組んでこそ、「いいね!」の件数やフォロワー数といった表面的な指標もようやく意味を持つのだ。

 もちろん、ソーシャル活動と直接リンクできない事業目的も、なかにはある(店舗販売など)。とはいえ、指標を基にかなり正確に推定できる。たとえば、ウェブサイト上で問い合わせをした顧客の一部が特定の商品を購入しているということがわかったとしよう。その場合、関連する投稿と、そこから行動(問い合わせ)につながったページに誘導された訪問者数を調べることで、ソーシャルでの動きと購入の関連性を追跡できる。

 ソーシャルメディア上のプレゼンスと事業目標の関連づけで苦労しているのは、あなたの会社だけではない。それに、(再)出発するのに遅すぎるということはない。一歩下がって、より広範な事業目標とターゲット市場をしっかりと考えるのだ。適切なプラットフォームを利用しているか、正しい方法で利用者とつながっているかを確認しよう。その後、必要なツールと指標が揃っているかどうかを確かめよう。

 ソーシャル活動を増やすこと自体を目的にするのではなく、事業目標を達成するための明確な計画を持てば、投資対効果の証明ははるかに簡単になるのだ。


HBR.ORG原文:The Basic Social Media Mistakes Companies Still Make,  January 02, 2018.

■こちらの記事もおすすめします
「いいね!」にはどれだけの価値があるか
ハーレーダビッドソンのAI活用法:見込み客2930%増をどう達成したのか

 

キース A. ケセンベリー(Keith A. Quesenberry)
メシア・カレッジ准教授。ソーシャルメディアとデジタルマーケティングを専門とし、著書にSocial Media Strategy(未訳)がある。