――現在、各社が作っているのは特化型AIだとのことですが、マイクロソフトが得意とするのはどのような特化型AIなのでしょうか?

 私たちは特定のビジネス用途に特化するのではなく、さまざまな特化型AIやアプリケーションを作るための基盤としてご利用いただける“AIのためのプラットフォーム”の提供に力を入れています。このプラットフォームでは、AIを使った基礎的な認識技術や開発フレームワーク、会話機能、翻訳機能などを提供します。これらを使うことで、ISVやシステム・インテグレーターがAIを使ったアプリケーションを開発してユーザー企業に提供したり、ユーザー企業が自ら作ったりできるようになります。

「データ」がますます重要に。
活用の鍵を握るのは豊かな発想力を持つ“人材”

――そのようにしてマイクロソフトのAIプラットフォーム上にさまざまな特化型AIやアプリケーションが揃い、連携して使えるようになると、ビジネスに人が介在する余地はますます狭まっていきそうです。

 AIは、これまで人が苦労して行っていたことや経験/勘を頼りに行っていたこと、あるいは無理だと諦めていたことを精緻化/自動化し、私たちがよりよい方向に進む助けになるものだと思います。マイクロソフトがAIの開発/提供を通じて目指しているのは、そういう未来です。

 例えば、日本マイクロソフトでは売上予測の支援にAIを使っています。各製品/サービスの営業担当者が四半期ごとに売上予測を立てる際、AIでも同じ予測を出すのですが、両者の予測内容が異なっていることが意外と多いのです。その際には、なぜそのようなギャップが生じるのかをレビューしますが、目的は「AIはこんなに強気なのに、なぜ君は弱気なのか?」と担当者を責めることではありません(笑) 重要なのは、同じ情報を持っているのに、予測に違いが生じるのはなぜか、AIはなぜそのように予測したのかを学ぶことです。つまり、人が気づきを得るためのツールとしてAIを活用しているわけです。これを繰り返していくことで、やがて「どうすれば営業活動や企業経営をよりよくしていけるか」といった考察にまで昇華させていけるでしょう。AIをこのように使えば、人がやれることはまだ沢山あります。

――AIの支援を受けることで、私たちはより高みを目指せるというわけですね。

 会社の売り上げに限らず、私たちが予測したいことの多くは複数の要因が複雑に絡み合っており、何か1つの事象が変化すれば、最終的な結果も大きく変わります。そうした中で精度の高い予測を行うには、「どれだけの情報をインプットし、処理できるか」が重要で、AIはそこを助けてくれます。ご存じのとおり、今日の株取引の多くはAIが担い、さまざまな要因を検討して約定するまでをミリ秒単位のスピードで行っています。今後、このような具合に短時間で意思決定を行わなくてはならないビジネスがもっと増えていくでしょう。そこではAIの支援が極めて重要になるはずです。