“AIプラットフォーム”の提供に注力し
ライバル企業との協業も積極的に推進

――体制を刷新して研究活動をより活性化する一方、AI研究の分野で他社との協業も積極的に進めています。ライバルでもあるそれらの企業との協力を深め、自社AI技術との連携を推進しているのはなぜでしょうか?

 端的に言えば、マイクロソフトだけが高度なAI技術を持っているわけではないからです。今は1社が全ての技術を独占的に抱える時代ではなく、さまざまな企業がAI研究に取り組み、それぞれに得意分野を確立しています。こうした状況においては、1社だけの技術で無理に完結させるのではなく、各社の技術を連携させてより優れたもの、用途に合ったものを選べるようにしたほうが、ユーザーが得るメリットが大きいと考えました。

 例えば先頃、当社の音声アシスタント技術「Microsoft Cortana」を、Amazon Echoに搭載されたアマゾン・ドット・コムの音声アシスタント技術Alexaと連携させることを発表しています。Cortanaはどちらかというとビジネス向け、Alexaは一般家庭向けに開発された音声アシスタント技術です。両者を相互補完的に連携させれば、ユーザーにとっての利便性がさらに高まるでしょう。

 AIに関する倫理規範やベスト・プラクティスを検討/共有するための団体「Partnership on AI」も設立しました。創設メンバーはIBM、マイクロソフト、フェイスブック、アマゾン、アルファベット(グーグル)の5社ですが、現在は運営組織にアップルも参加しています。Partnership on AIでは、「AIを社会にとって有益なものにするにはどうすればよいか」といったことや、AI同士で会話するための共通インタフェースをどう作るかといったことを話し合っています。

――「AI同士が会話する」とは、どういうことでしょうか?

 SF映画に出てくるような何でも理解できる汎用的AIを作るのは非常に難しく、今は各社が「売上予測を得意とするAI」、「在庫管理を得意とするAI」など、さまざまな“特化型AI”を作っている状況です。こうしてさまざまな特化型AIが提供されるようになると、ユーザーはそれらを連携させることでより大きな仕事をさせられるようになりますが、そのためにはAI同士が“会話”できなければなりませんし、それぞれのAIが学んだ知識をやり取りするための枠組みも必要です。こうした広範なテーマについて、AI研究に携わる各社間で話し合っている場がPartnership on AIなのです。