25年以上にわたる実績とノウハウ
約8000名体制でAI関連技術を研究/開発

――マイクロソフトのAI技術は、すでに産業界での活用も進んでいるのですね。それでは、AIに関する御社の取り組みについて伺います。初めに、AIの研究/提供に関して掲げている原則やポリシーがあればお聞かせください。

 私たちがAIに関して掲げている大原則は、「AIは人を補完し、支援する技術である」ということです。この原則に照らしてAIの開発や提供はどうあるべきかを常に考え、厳格なレビューを行いながら取り組んでいる点が大きな特色です。

――その原則/ポリシーの下、現在は全世界で活発な研究体制を敷かれているようです。

 マイクロソフトは、IT業界でも有数の研究機関として「Microsoft Research」を運営しています。2016年9月、このMicrosoft Researchを母体にして、それまで全世界に散在/重複していたAI関連技術の研究/開発組織を1つにまとめ、「Microsoft AI and Research Group」というグループを新たに発足しました。

 Microsoft AI and Research Groupは現在、約8000名の研究者を抱えており、AIの基礎技術をはじめ、当社のサービス/製品を網羅する広範な領域について研究を進めています。扱っているテーマは、会話に関する技術、人の仕事の生産性向上を支援するアシスタント技術、画像認識や音声認識、翻訳に関する技術のほか、ディープ・ラーニングのフレームワークなど、実にさまざまです。AIに関して、ここまで多岐にわたる研究活動を行っている組織は世界でも稀でしょう。これはAIに関するマイクロソフトの大きな強みの1つです。

 もう1つの強みは、学術的なAI研究の成果をビジネスに投入し、そこからフィードバックを得て改善するというサイクルを長年にわたって実践してきたことです。Microsoft Researchは昨年に創設25周年を迎えましたが、AIは当初から中心的な研究テーマであり、これまでメールのスパム処理やフィルタリング、サイバー攻撃のパターン学習にAIを用いるなど、少しずつ自社製品に組み込んできました。そのようにして研究成果を市場に出し、フィードバックを受けて改善するという取り組みを25年以上も続けてきたのです。