あなたはどの程度、戦略と実行の両立ができているだろうか。

 以下の質問は、戦略と実行をつなぐ一連のプロセスにおける、3つの段階すべてをカバーしている。リーダーは、これら3つの段階をきちんと踏むことによって、戦略と実行とのギャップを埋めて大きく前進することができる。

1. 戦略を構築する

・次の問いに対して、明確な答えが出ているだろうか。「いかに他社とは異なる方法で顧客に価値を付与するか」「その提供価値に秀でるための、具体的なケイパビリティは何か」

・戦略策定の過程で、「まず戦略を構築し、その後に実行について考える」という従来型のアプローチを用いているのか。それとも、「戦略の実行に必要なケイパビリティを備えているか、あるいは構築できるか」と自問しているだろうか。

・破壊的変化への対処では、自社が持つ強みを利用して、周囲の世界をみずから形成・再編しているだろうか。それとも、変化が起きるのを待ち、他社のルールに従って競争しているのか。

2. 戦略を日々の活動に落とし込む

・戦略として決めたことを、きちんと遂行し続けているだろうか。自身が「戦略は何か」「それを成功させるには何が必要か」をきわめて明確に認識していなければならない。それを組織に伝え、全員に何をすべきかを理解させる必要がある。

・自社がその戦略で勝つうえで必須となるケイパビリティを、構築するための具体的な施策を設けているか(たとえば、特定の新技術、新たなプロセス、トレーニング・プログラムなど)。

・戦略と予算配分プロセスを具体的に連動させ、最重要課題に資金が割り当てられるようにしているだろうか。そして戦略を、マネジャーと従業員の個々の目標と報酬に落とし込む仕組みを設けているだろうか。

3. 戦略を実行する

・従業員の意欲を日々高め、あなたが重点を置く重要な戦略手段に、彼らの活動がどう関わっているかを理解させているだろうか。

・従業員が職能横断的な課題に取り組んで自社を成功に導けるよう、部門の壁を越えた協働を促しているだろうか。

・追跡・記録の対象は自身の実績だけでなく、少数の重要ケイパビリティ(他社にできない方法で顧客に価値を生み出すための能力)の構築・拡張についても状況を把握しているだろうか。

・経営陣は、あなたの戦略の実施方法にどう関与しているだろうか。成果の測定にとどまらず、組織に絶えず問いを投げかけ、重要なケイパビリティの向上を支えているだろうか。あなたは経営陣に対し、達成すべき事項と時期について目標を十分に高く設定しているだろうか。

 企業は、戦略を確実に実行して成功させることができれば、非常に大きなメリットがあるはずだ。ビジョナリーと実行者のどちらにもなれるリーダー、両方の物の見方を行き来できるリーダーこそ、自社を競争の強者にできるのだ。


HBR.ORG原文:How to Excel at Both Strategy and Execution, November 17, 2017.

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ポール・レインワンド(Paul Leinwand)
PwCの戦略コンサルティングを担うStrategy&のグローバル・マネージング・ディレクター。PwC米国のプリンシパル。ケイパビリティに基づく戦略と成長を主導し、多くの業界・地域の企業に企業戦略を助言する。共著に『なぜ良い戦略が利益に結びつかないのか』(ダイヤモンド社、2016年)などがある。

ヨアキム・ロタリング(Joachim Rotering)
Strategy&のグローバル・リーダー兼、欧州・中東・アフリカ担当リーダー。Strategy&ドイツのマネージング・ディレクターであり、主として石油、化学、鉄鋼業界のクライアントを担当している。