戦略と実行の双方に長けているリーダーは、大胆かつ実行可能な戦略を策定することから始める。次に、その変更に基づいて、自社の投資が確実に行われるようにする。そして最終的には、目指す道筋に、組織全体が意欲を持って乗り出せるよう万全を期す。

 大胆かつ実行可能な戦略の策定というのは、ただ崇高な計画を掲げ、各職能・事業部に「最善を尽くして実行せよ」と要請することではない。リーダーが「自社は何が得意だろうか」「自社は何を成し遂げることができるか」といった疑問にきちんと対処することから始まる。優れたリーダーは実際に、戦略実現に向け卓越すべき少数の差別化できるケイパビリティを、明確に示す。

 次に、変更に基づく投資を確実にするとは何か。戦略と実行とのギャップを小さくするうえで、予算配分のプロセスが最も重要な手立ての1つであると、リーダーが認識することを意味する。コストとは、外生変数として管理すべきものではなく、最も重要なことを上手く行うための「投資」なのだ。

 だが、予算が戦略と密接に結びつけられていることはまれである。予算が2~3%単位で上下に微調整されているだけの会社は、投資が最も重要な課題を本当に反映しているのか、自問してみるべきだ。

 各従業員の意欲を高めることは、戦略と実行とのギャップを小さくするうえであまり活用されていない手段だ。優れたリーダーであれば知っているが、成功とは、個々のスキルが独特な形で結集されて、戦略の実行における困難な課題が成し遂げられることで生じる。

 だが今日、ほとんどの従業員は、自分が戦略にどのように関連しているのかすら、理解していない。Strategy&が最近実施した、幹部、マネジャー、非管理職540名を対象とした調査(未発表)によれば、自組織の目標やアイデンティティに自分が深く関連していると感じる従業員は、わずか28%であった。

「自社はどのようなケイパビリティの構築を必要とするか」「そのためには、どのようなスキルが必要とされるのか」。戦略を人材の観点から明らかにすることで、ふさわしい人材をいかに育成するかに焦点を当てることができる。のみならず、各従業員も、自分の役割が全体的な戦略にどうフィットするのかを理解でき、みずからの仕事をもっとそこに結びつけて見つめることができる。