変化力を高めるために「ネットワーク性能」を磨くべき

 いままで私が目にした一般的な企業COOのアプローチは多少の違いはあれど、過去サプライチェーンの構想・設計の王道的アプローチである。しかし、供給特性の共通項をくくり出して線形の「鎖」のパターンのなかに落とし込もうという発想で仕上げた構想はその後の変化に弱いのではないか。こうした問題意識をサプライチェーン先進企業の例も共有しながら、社内のヒアリングも行い討議をすることで、下記のような振り返り分析に至る。

●(中期経営計画のタイミングでサプライチェーン検討プロジェクトをやるが、随時新しいビジネスがでてきた場合は「例外処理として……」ということになり、現場の努力で亜流のパターンを何とかつくってしのいでいく

●しかし、それらの現場努力は経営から見ると個別最適になっていたり、サプライチェーンコスト増大の原因になっていたりして、思わぬところで経営から糾弾されるリスクもある

●こういうことを経験して当社のサプライチェーン部門は、本来販売部門が行いたい新規ビジネス・商材のパイロットには理由を見つけてなるべくうまく協力を避ける……というようなチャレンジに消極的な姿勢になっている

 多くのお客様のサプライチェーン検討を支援してきた私にとっても、ギクリとさせられる振り返り分析結果である。ビジネスの変化に対してサプライチェーンの変化力が弱いと感じられているCOOであれば、上記のループに陥っていないかチェックするとよいのではないか。やはりワンタイムの検討時点でサプライチェーンの「あるべき状態(TO-Be像)」を描くことよりも、短サイクルで供給したい「コト」が変化していく時代においては、サプライチェーンの変化力を高めるために「ネットワーク性能」を磨くことを検討の主題に据えるべきと考える。

 ところで「デジタルサプライネットワーク」のコンセプトでサプライチェーンの変革にチャレンジしていくためには、従来の典型的「サプライチェーン部門」が組織の能力としてもう一段進化しなくてはならない点があることにも触れておきたい。

 冒頭のようなトレンドを経るなかで企業はサプライチェーン部門を事業部横断の組織として切り出したり、カーブアウトして別法人化してきた。これ自体は当時のテーマに取り組む過程であるべき方向性だったといまでも信じてやまないが、せっかくつくった事業部横断の組織は3PLや業者に対するコストの管理者・番人で留まっており、本当の意味でサプライチェーンの企画機能を常態的に(ワンタイムのプロジェクトでなく)有するケースは稀である。サプライチェーン機能会社に企画機能があると称する企業でも、実態は3PL業者や取引先の提案を受けてこれを評価しているのであって、企画自体をできるケイパビリティは有していると言いがたいケースが多い。